年下の彼3


「……夢?」

○○は目を覚ました。

「……溜まってるのかしら?」

○○は今しがた見た夢に恥ずかしそうに悶えた。

内容はエースと共にベッドを共にする夢。

「今日は雨か」

ザーザーと先程から水の音がした。

「…………?」

○○は目を開けるときょろりと部屋を見る。

自分の部屋だ。だが、何かがおかしい。

「私どうやって帰ってきた?」

確か、昨日はガープの紹介で会った年下男エースと食事をし、彼のハイペースな酒を一緒に飲み………………?

「……よく見ると何か知らない服が……そもそもパジャマも着てない」

自分の姿はギリギリ下着を着けただけ。


ーーガチャ


「お!よう!おはよう!」

風呂場へのドアが開き、出てきたのは上半身裸にタオルを腰に巻いた姿のエースだった。
雨の音だと思っていた音も今はしない。どうやらシャワーの音だったようだ。

「っっ!!!!」

○○は声無き叫び声を上げた。








「なんだよ。全然覚えてねェのか?」

ようやくワイシャツ(ボタン全開)とズボンだけを身に付けたエースがため息混じりに声を出した。

「お、覚えてない」

○○も服を着てエースとはローテーブルを挟んで座った。

「えーっと、じゃあ説明するか?まァ、誘ったのは俺だけど○○もノリノリだったぞ。気持ちよさそ」

「いらん!そんな説明はいらん!」

エースの言葉を○○は怒声で打ち消した。

「はぁ。まぁ、仕方ない。お互いお酒も飲んでたしさらっと水に流して」

「は?嫌だよ」

今度は○○の言葉をエースが止めた。

「どうせ結婚する気で会ったんだろ?なら順番が少しずれただけだ」

エースは○○が用意した冷たいお茶を飲んだ。

「…………いやいや、まず私の方が結構年上よ?」

「そうなのか?」

○○の言葉にエースはキョトンとした。

「いくつ?」と聞かれたので○○が答えるとエースは「ふーん」と頷いた。

「貴方もまだ23、4でしょ?」

「二十歳だ!」

「……………………」

エースの年齢に○○は床へと項垂れた。

「無理!余計無理!いくつ離れてると思ってるの!」

○○はエースに叫んだ。

「無理も何も責任取ってやるって!」

エースはにかりと笑った。

「…………」

○○は頭痛でもするかの様に頭を押さえた。

「良く考えようよ。年上の女なんて嫌でしょ?まだ若いのに」

「?別に?」

エースはだらしなく座りお茶を飲む。

「と、とにかくガープさんには私から断りを」

「なら」

エースはジッと○○を見る。

「大人な○○に子供の俺がレイプされたって警察に言う」

「は?なに言って!」

エースの顔は至極真面目であった。

「警察官が若い男を無理矢理したってなればお巡りでいられなくなるだろ?どうする?」

ニヤリとエースは怖い笑みを浮かべた。

「…………いや、誰も信用なんて……」

○○の顔は真っ青になる。

「ジジィなら結婚しろで済むと思うが、スモーカーとかどうだ?」

「すも」

スモーカーとは第4課、暴力団関係(通称丸暴)のトップだった。

それはそれは強面な外見通り中身も筋は通っているが怖い男だった。

「……」

○○は顔面蒼白で押し黙る。

「俺と結婚しちまえよ、○○さん」

エースの微笑みが地獄へと入り口だと○○は思った。



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