18
カーテンから漏れる光を浴びて○○は目を覚ました。
「…………痛」
体全身が自分の物では無いような感覚にため息が漏れる。
「……寝てる」
しかし、自分を抱いて眠る男の顔を見てホッと安心をした。
初めて見るサッチの寝顔に胸がときめいた。
愛されていなくても側にいられるだけで良いと思えるほど○○はサッチの事が愛しかった。
「サッチさーん、サッチさーん」
○○はペシペシと眠るサッチの頭を叩いた。
「んぐ」
「朝ですよー。お腹空きましたー」
○○は何度も何度も叩き続ける。
「うぅ……。おはよー」
くわっと大あくびをするとサッチは○○を抱き直し、布団に深く潜った。
「寝るんじゃないですよー。起きてくださーい」
○○はクスクスと笑いながらサッチの頭をペシペシ叩いた。
「うー、サッチさん一人の人でこんなに満足したの初めてだから余韻を」
「……うわ、それ最低発言」
○○は白い目でサッチを見る。
「っ!!いや、それは俺が体力あり過ぎて!相手は皆先に倒れちゃうってだけで」
「聞きたくなーい。そんな武勇伝聞きたくありませーん」
○○はわざと慌てるサッチから顔を背けた。
本当は耳を塞いでやりたかったが、体が思うように動かなかった。
「それより、大丈夫?」
サッチは気遣わし気に○○を見る。
そのサッチの顔に○○は胸をときめかせる。
「大丈夫じゃないです。本当に壊れてるかもしれない。体が痛くて思うように動きません」
○○は困った様に笑った。
「悪かった!!」
サッチは素っ裸で布団の上に正座をすると頭を布団に付けるほど深く頭を下げた。
その大きな声に○○はびくりと驚いた。
「いくら○○ちゃんの言った事だからって、調子に乗り過ぎた!辛いよな」
そろりと顔を上げて申し訳なさそうに顔を歪めた。
「……ううん。私があんな事言ったから。サッチさんは私の願いを叶えてくれたんだし」
○○は体を起こそうとしたが、出来ずにいた。
「けど、それじゃあ……」
サッチは気まずそうに頭をかく。
「なら、お腹が空いたので朝御飯が食べたいです」
何時間2人でそうしていたか分からないが、激しい空腹に襲われていた。
「了解!旨いモン作ってやるから寝てな!」
サッチは嬉しそうに笑うと服を身に付けて立ち上がった。
部屋から立ち去ろうとして立ち止まり、○○に近付く。
「動けるようになったら買い物行こうな」
ちゅっと軽いリップ音を立ててサッチは○○のおでこにキスをした。
「…………うん」
○○は突然のサッチの甘い行動に不覚にも顔を赤くして頷いた。
動けない○○にサッチは寝室まで出来上がった食事を運んだ。
「これ食ったら風呂入れてやるからな」
運ばれたご飯を何とか体を起こして食べていた○○はサッチの言葉にギョッとした。
「今日はこれ以上無理ですよ!本当に死んじゃう!」
○○が慌てて首を左右に振った。
「当たり前だ!風呂場でヤるのはまた今度な!」
サッチはあらぬ疑いをかけられ慌てた。
「……」
「なんだ?その顔は。ホントはして欲しいのか?仕方ないなァ」
「う、嘘です!サッチさんを信じてます!」
○○はサッチの脅し文句に慌てて声を出した。
「そうだぞー、信用しろー。カリスマトリマーの様に綺麗に洗ってやるよ」
サッチは楽しそうに笑った。
「あはは、トリマーって!私は犬ですか?」
「うん、可愛い俺のペットだな!」
2人は楽しそうに笑い合った。
「犬ですか?猫ですか?」
「犬だな!」
「犬かぁ。種類は?」
「うーん、パグ」
「ぱ?!それって不細工って意味ですか?」
「いや、愛嬌があるって意味」
「…………うー」
「えー?!俺パグ好きだよ?パグ可愛いじゃん!」
「っ!!……な、なら、パグで良いです」
「○○ちゃん可愛いなァ」
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