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元々部屋を決めてしまう為に半日休を取っていた○○はサッチが出掛けるのを見届けると、不動産屋に電話を掛け、仮契約を取り消した。

「……ここにいても良いんだ」

通話の終わった携帯を見つめて○○は改めて与えられた部屋を見た。

サッチの私物が置かれた部屋には○○のスーツが数着とキャリーバックが置かれただけ。

「……ここで生活するとなると、色々買わないとね」

○○は給料日までの日にちと休みの日にちを確認した。

「サッチ部長にも何かお礼もしなきゃ。……月いくらくらいかな」

○○は不安になりながらも着替えるべく立ち上がる。

「…………しかし、体が辛い……」

○○は困った様に眉間にシワを寄せた。








辛い体を動かして何とか出勤する。

「おはようございます」

「おそよう、重役。これコピーなァ」

ニヤリと笑いながらイゾウは書類を渡してきた。

「は、はい!」

○○は頷くとさっそくコピー室へのドアへ向かう。

「あれ?」

○○は動かないコピー室のドアを不思議そうに眺めた。

「あ!今コピー室つかえないんだよ!メンテ入って。他の部署の借りてくれ!」

○○が困っていると先輩が教えてくれた。

「分かりました!」

○○は書類を持って16支部を出た。





「コピー?良いぜ」

お隣の15支部長のフォッサに聞くと怖そうな顔をにかりと笑わせた。

「あ、ありがとうございます」

○○は怯えながら礼を言うとコピー室へと入った。







「フォッサー。マルコがあの企画書まだかってさ」

サッチはマルコの使いで15支部にやって来た。

「あァ、それならここに……」

フォッサが探し始めるが見当たらないらしい。

「あァ!そうだ。コピー室に置いてある」

「おいおい、不用心だな」

サッチはケラケラと笑った。

「まァ、良いや。どの辺だ?」

サッチはコピー室へ足を向ける。

「確か窓側だ」

「はいよ」

サッチはひらひらと手を振るとコピー室へ静かに入る。

「あ?○○ちゃん?」

サッチがコピー室へ入ると椅子を使って上の棚から用紙を取ろうと躍起になっている○○の後ろ姿を見つけた。

○○はそれに気付かないのか、つま先立ちになり、懸命に手を伸ばした。

「ったく!ここの人達大き過ぎるのよ!!」

○○がもう少し!と手を伸ばしている。

「うーん。良い眺め」

「へっ?」

「うん!良い手触り!」

「っ!!!きゃぁぁぁぁ!!!」

○○は突然触られた尻を庇いながら後ろにいた人物に思いきり蹴りを入れた。
靴を脱いで椅子に上がっていたせいもあり、足の裏に生暖かい感触がまとわりついた。

「ぐはっ!!!」

「え?!さ、サッチ部長?!」

どさりと倒れた音で振り返るとそこには床に倒れ込むサッチの姿。

「どうした?!」

○○の悲鳴に驚いてコピー室にフォッサ達15支部の人間がが飛び込んできた。

「な、ナイスヒップ!」

サッチは親指を立てながらにかりと笑った。

「最低だ!」

○○は助け起こそうとしたサッチを床に突き落とした。

「サッチ、テメェ……」

フォッサは呆れながらサッチにため息をついた。







「疲れた顔してるぞ?」

何とかコピーを終えて戻ると、イゾウが不思議そうに○○を見た。

「……ちょっと……」

○○はコピーした書類をイゾウに渡すと珈琲をいれるべく給湯室へ入った。








「なんか、先が思いやられる……」

○○は深いため息をついた。

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