06

「御馳走様でした」

テンゾウが手を合わせた。

「お粗末様でした」

○○は楽しそうに答えた。

「腕上げた?」

テンゾウが弁当箱を片付ける。

「え?本当ですか?」

「うん。絶対上手くなってる」

「あ、ありがとうございます」

○○は少し恥ずかしそうに言う。
テンゾウに喜んで欲しくて毎回気合いも入る。
テンゾウの出すバイト代はかなり良いので今までより良い食材も買えるのだ。

「ところでさ」

「はい?」

「その言葉遣い……」

テンゾウが不思議そうに言う。

「言葉遣い?」

「何で急に敬語?」

「え?いや、だってテンゾウさん暗部ですし。雇い主ですし」

○○は当たり前だと声を出す。

「じゃあ、止めてよ。何か距離感じる」

テンゾウが呆れた様に言う。

「き、距離って……」

○○がクスクスと笑う。

「今度敬語使ったらバイト代減額」

「もうしない!」

テンゾウの言葉に○○は慌てて声を出す。

「がめついな」

「失礼な!」

テンゾウの言葉に間髪入れずに答える。

「ぷ」

「ふふ」

「「あははは」」

最近の2人は良く笑い合う様になっていた。



「良いねぇ、若いって」

「ふわっ?!」

突然後ろから声が聞こえて○○は驚いて振り返る。

「カカシ先輩」

テンゾウが呆れ気味に振り返る。

「よ!2人仲良くお弁当なんか食べて……デート?」

カカシが眠たそうな顔のまま興味はなさそうに聞いてくる。

「そんな訳ないですよ。お弁当作って貰ってるだけです。ちゃんと金も出してますよ」

(いや、そうだよ、うん)

テンゾウが答えるのを聞いて○○の胸がチクリと痛む。

「ふーん?旨いの?」

「それは、凄く」

テンゾウの言葉に嬉しくなる。

「あ、もしかしてクルミパン?」

カカシが○○を見る。

「へ?」

「あれは旨かったよね、確かに」

うんうんと納得した様にカカシが頷いた。

「クルミ……パン?…………あ!」

思い当たる節を見付けて○○は驚いた声を出した。

「なに?」

テンゾウが○○を見る。

「え?もしかして、あの時の暗部って、テンゾウさん?」

○○がテンゾウを振り返る。

「気付いて無かったの?」

テンゾウが不思議そうに言う。

「全然、まったく!」

○○は首を左右に振った。

「あっはっは!お前の独りよがりだったな」

カカシが楽しそうに笑った。

「先輩、うるさいです」

テンゾウがはぁとため息をついた。

「じゃあさ、俺の分も作ってよ」

カカシが今度は楽しそうに笑った。

「え?お弁当をですか?」

「うん。ま!もちろんお邪魔はしないよ?馬に蹴られたくないし」

「先輩!!」

テンゾウの繰り出す攻撃をヒラリとかわすカカシ。

「からかいがいがあるね、お前は」

カカシがニヤリと笑った。

「今さらひとつ増えても変わらないから大丈夫ですが」

○○はカカシを見上げる。

「そ?じゃあ、宜しく頼むよ。えーっと、名前は?」

「□□○○です」

「じゃ、明日から宜しくね、○○ちゃん!」

カカシは嬉しそうに言う。

「あ、テンゾウ。火影様が呼んでたよ」

「そうですか。ありがとうございます」

「じゃあね!」

カカシはそれだけ言うと消えて行った。

「ふわー。緊張した…………」

○○はゆっくり息を吐いた。

「なに?」

「だって、あのはたけカカシ上忍だよ?!次期火影候補だよ?!緊張し無い訳がないよね!」

○○はドキドキと鳴る胸を抑え込む。

「まぁ、カカシ先輩は凄いからね」

テンゾウは素直に頷いた。

「テンゾウさんもカカシ上忍のファン?」

「ファンって言うか、尊敬してる」

テンゾウは力強く頷いた。

「ふふ、なら一緒だね」

○○が楽しそうに笑った。

「万年事務中忍の癖に目標高くない?」

テンゾウが不機嫌そうに言う。

「目標は高く!!」

○○の嬉しそうな姿にテンゾウも嬉しそうに笑った。





きみとぼくの距離6


同じ人が目標



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