19

「姉ちゃん!」

繁盛する店に背も伸び、逞しくなったナルトが駆け込んできた。

自来也と修行の旅で2年半里を離れていた。
帰ってきてからは自来也共々店の顧客になっていた。

「あら、ナルトくん!いらっしゃい」

○○は嬉しそうに笑った。

「あのさ!あのさ!今日、新しくカカシ班に入った奴等と飯食おうって事になったんだってばよ!」

ナルトはにかりと笑った。

「あら、何か最初は喧嘩してなかった?」

○○はクスクスと笑った。

「でも、サイは良い奴だったんだってばよ!」

ナルトは少し口を尖らせた。

「サイくんて言うのね?今日は3人?」

「ううん!今日はカカシ先生とヤマト隊長も来るってばよ!」

ナルトは嬉しそうに笑った。

「えーっと、じゃあ5人ね?久し振りだから貸切りにしてあげるわ!」

○○はにこりと笑った。

「やったー!んじゃさ!楽しみにしてるってばよー!」

ナルトはそれだけ言うと慌ただしく店を後にした。








「へぇ、こんな所に店があるなんて知らなかったよ」

ヤマトが小さな可愛らしい店を見上げた。

「私達は常連なんですよ!」

サクラが楽しそうに笑った。

「カカシさん来てませんが良いんですか?」

サイが無表情に聞く。

「カカシ先生はいつもだから良いってばよ!」

ナルトが言いながら『本日貸切り』と言う小さな看板がかかったドアを開けた。

「こんばんはー!」

サクラが声をかける。

「姉ちゃん来たってばよー!」

ナルトもドアをくぐった。

「座ってて!今、手が!」

厨房と思しき場所から○○の叫び声がした。

「っ……」

ヤマトはその声にぴくりと反応した。

「手伝います!」

サクラが厨房へと走った。

「じゃあ、俺達は座ってよう」

ナルトが既に配膳がされているテーブルへ座った。

「女性なんですか?」

サイはナルトに聞く。

「そうだってばよ」

ナルトが頷いた。

「声から結構行ってますよね?」

「うーん、二十…………何歳だったかな?」

ナルトは首を傾げた。

「一般の方でまだ未婚なんですか。売れ残り?」

サイは真面目な顔で言う。

「サイ、お前今度はなに読んだの?」

ヤマトが呆れながら聞く。

「姉ちゃんは元忍だってばよ」

「はーい!サラダだよー」

サクラが厨房から料理を運んで来た。

「このごぼうサラダ、クルミが入ってて美味しいんだよ」

サクラがにこりと笑った。
ヤマトはそれを食い入るように見る。

(……これって)

顔には出さないがヤマトは少し嫌な予感がした。

「元忍で料理人ですか」

サイは不思議そうに料理を見た。

「そうなの。辞めた理由は教えてくれないけど、凄く辛そうだったわよね?」

「辛そう?」

サクラの言葉に思わずヤマトが反応した。

「ええ、あれはきっと恋愛絡みよ!」

にやりとサクラは笑った。

「あの時の姉ちゃん見てらんなかったってばよ」

「……」

ナルトの言葉に眉をひそめるヤマト。

「お待たせしました!鳥の唐揚げと春巻き!中華風スープにはナルトくんが好きなラーメンも入れてみましたー!」

○○がにこりと笑いながらテーブルの上に料理を並べていく。

「○○姉ちゃん!カカシ先生来るからって、気合い入りすぎだってばよ!」

ニヤニヤとナルトが笑う。

「だーかーらー!どうしてカカシさんとくっ付けたがるの?」

○○は頬を膨らます。

「えー!良いじゃん!カカシ先生!」

ナルトはなおもカカシを押す。

「だから、何度も言ってるでしょ?忍は嫌なの!と、言うか無理なの」

「何でー?どうしてー?」

「どうしても!」

ナルトと○○は本物の姉弟の様に会話をする。

「それより、紹介してくれないの?」

○○がナルトを促した。

「こっちがサイ!」

「宜しくお願いします。えーっと……それなり?」

サイはにこりと笑った。

「そ、それなり……」

○○はがっくりと項垂れた。

「ちょっと!サイ!」

サクラが拳を握る。

「あー、良いよ、良いよ。どうせそれなりだから。前も言われたし」

○○は苦笑気味に言った。

「それから、こっちがカカシ先生の代わりに入ったヤマト隊長!」

ナルトが言うと今までに背を向けていたヤマトが静かに振り返った。

「どうも」

「………………」

ヤマトの顔を見た瞬間に○○は驚いた顔をして固まった。

「姉ちゃんどうしたってばよ?」

ナルトが不思議そうに○○を見る。

「あ!え!いやいや、何でもないよ!○○です。ナルトくんの相手は大変だと思いますが、宜しくお願いしますね」

○○はにこりと笑った。

「わ、私厨房にいるから用があれば呼んでね」

○○はその場から逃げるように去った。





きみとぼくの距離19






3年振りの再会

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