13

任務が終わり、里まで帰って来た。

(お腹減った)

テンゾウ達暗部の任務を共にした仲間達は3代目に報告をした。

それが終わると着替えをする。

(○○ちゃんに会いたいけど、行って平気かな)

テンゾウがそんな事を考えていると

「お、帰って来たのか!」

部屋に入って来た忍が声をかけた。

「そう言えばさ、お前らが行ってる間に残念な話があるぜ」

「なんだよ」

「受付にいた可愛い子いるじゃん?ちょっと抜けてる感じの」

「あぁ、ドベの○○ちゃんな。笑顔が可愛い」

背後で話題になったのは愛しの恋人の名前。

「そうそう、その○○ちゃんがさ、どうやら付き合い始めたらしいぜ」

(○○ちゃんってモテるんだなぁ)

自分達の事かと思いながらも気にした様子なく着替えを続けるテンゾウ。

「なんだとー?!だ、誰と?」

「それがさ!あのイルカなんだよ!」

「は?」

「お!テンゾウも狙ってたのか?」

思わず振り返ってしまった。

「イルカぁ?!あいつ、大人しい顔してやるな!」

悔しがる男が拳を震える。

「なー!俺の癒しが」

男は悔しそうにしながらも笑った。

「お、テンゾウお疲れ!そんな落ち込むなって!」

ケラケラと笑う声に適当に返事をしてテンゾウはその場を後にした。




(……どう言う事だ?)

テンゾウは思考を乱されながら○○の家へ瞬身の術を使った。


ーーピンポーン


「はーい!」

のほほんとした声に若干の苛立ちを覚える。


ーーガチャ


「あ!テンゾウさん!お帰りなさい!!」

ドアが開くと同時に○○が嬉しそうに笑った。

「…………ただいま」

テンゾウは不機嫌そうに言うと部屋に入る。

「お腹減ってる?今夕飯作る」

「ねぇ、ボクに何か言う事ない?」

○○の声を遮る様にテンゾウは声を出す。

「へ?」

○○は不思議そうに首を傾げる。
その姿にも苛立ちを覚えた。

「何か弁解する事があるんじゃない?」

テンゾウの苛立った声にまずいと感じる○○は「あ!」と、思い当たった。

「も、もしかして変な噂聞いたの?」

○○はカカシに言われた事を思い出した。

「変な噂って何?」

「え……そ、その。い、イルカさんとどうとか?」

テンゾウの怖い顔に恐る恐る声を出す。

「へー、どうって?何したの?」

「何も!!ただ、ラーメン食べに行っ」

「いいや」

テンゾウは吐き捨てる様に言う。

「て、テンゾウさん!」

○○は慌てる。

「こっちおいで」

テンゾウが○○の手を引いて部屋へと入る。

「あのね!大変だったんだよ!」

○○が焦りながら声を出す。
それをテンゾウが自分の唇を○○のそれに重ねて黙らせる。

そのまま床に押し倒した。







「だ、だから、ラーメン食べに行っただけ。ナルト君もいたんたたよ?」

○○は欲を吐き出して落ち着いたテンゾウに懸命に説明した。

「ふーん」

テンゾウは低い声で頷いた。

「…………テンゾウさんって暗部の癖に嫉妬とかするんだね」

○○は意外そうにテンゾウを見る。

「あのね、暗部の任務で疲れて帰って来て、恋人の浮気を知ったらいくらボクでも冷静でいられないよ」

テンゾウがずーんと怖い顔をする。

「……ご、ごめんなさい」

○○は恐怖に怯える。

「何が?謝る様な事したの?」

「してない!!潔白!!」

○○は慌てて言う。

「……まぁ、今日のところは許してあげるよ」

「あ、ありがとう」

○○は困った様に笑った。

「しかし、噂になるくらいだから、イルカさんって人気あるんだね!」

○○はクスクスと笑った。

「は?」

テンゾウは驚いた。

「違うだろ。○○ちゃんだからだろ」

「へ?私?」

○○は驚いてうつ伏せのまま状態を起こした。

「自覚ないの?」

「何の?!」

「……○○ちゃんさ、誰にでも隔てなくにこにことしてるでしょ?」

「う、うん」

「それ。顔がそれなりでも、男は女の笑顔に弱いんだよ」

「そ、それなり……」

テンゾウの言葉に○○は項垂れた。

「美人だとちょっと躊躇するんだよ。忍の美人って高嶺の花だしさ。そこ行くと○○ちゃんて一般受けするんだよ。いつもにこにこと癒されるってね」

「は、はぁ……」

テンゾウの説明に不思議そうに頷いた。

「それにドベ忍だしね。男にとっては優越感この上ない」

冷静に分析するテンゾウ。

「へ、へぇ。あ!結構声かけられるなぁって思ってた」

「は?」

「でも、私に美人の友達がいるからだと思ってた!」

「…………可哀想に」

テンゾウはさすがに他の声をかけた男達が可哀想に思った。

「あはは!知らなかったなぁ」

○○は楽しそうに笑った。

「だからって、浮気しないでよ」

テンゾウが呆れた様に言う。

「ふふ、テンゾウさんもね!」

「ボク、モテないし」

「は?」

テンゾウの言葉に驚いく○○。

「それこそあり得ないよ!」

「だって、声かけられた事ないよ」

テンゾウは興味無さそうに言う。

「それこそ、高嶺の花だからでしょ!」

○○はテンゾウの両頬を引っ張る。

「ほれはははしせんはいでほ」

「……何て?」

テンゾウの頬を離す。

「それはカカシ先輩でしょ」

テンゾウは同じ事を平然と言う。

「…………それは、確かに!」

2人はそう言ってクスクスと笑いながらじゃれ合っていた。





きみとぼくの距離13





自分を知らないきみと自分を知らないぼく

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