08
(薄暗い。こんな所に本当に指輪なんて……)
○○は注意深く、奥へと進む。
(何か、ここ嫌だな。寒いし)
○○は自分を抱き締める様に先へと進む。
「あれ?行き止まり?」
一見行き止まりの様だ。
「っよし!」
○○は集中する。
(あそこか)
トラップを調べる要領で壁を見ると一部、薄い所を見付ける。
クナイを出して、そこに突き立てる。
ガラガラと音を立てて壁が崩れる。
「っ!!シー!!!」
○○は慌ててそう崩れた壁に指を立てる。
大きな音の後、再び静寂に包まれた。
「ほー!」
「ほーじゃないでしょーが」
「っ!!!」
崩れた壁の向こうから声がした。
「は、はたけ上忍?」
○○は驚きに声を上げた。
「まったく、アンタ役立たずだね」
カカシは呆れ顔で言う。
「す、すみません」
○○は慌てて頭を下げる。
「ほんとに」
ドンッとカカシが○○を壁に押し付けた。
「っ?!」
その勢いが強くて息が詰まる。
「お前くらいなら忍なんて辞めろ」
「っ!!!」
カカシはクナイを○○の首に押し付けた。
「まったく、今の音は」
カカシはやれやれと呆れた顔で呟く。
カカシは既に音もなく壁を破壊していた。
「さーて、何が出るのやら」
カカシは壁の向こうへと足を踏み入れた。
「はたけ上忍?」
○○が不思議そうにカカシを見上げて来た。
「結局同じ所に出たんですね?」
○○は困った顔をした。
「…………そうみたいだねー」
カカシはいつもの調子で答える。
「指輪、どこでしょうか?」
○○が不安そうに聞く。
「あんた、知ってんでしょ?」
「へ?」
カカシは○○にクナイを突き付ける。
「悪いけど、○○はもっと可愛いよ」
カカシの言葉に○○の顔がニヤリと歪んだ。
「っ!!!」
○○は傷だらけでカカシと対峙していた。
(……幻術?それにしては)
息荒くカカシを見る。
「上忍」
「ん?」
「一緒に大好きな天ぷら食べようって言ったじゃないですか!」
○○は寂しそうに声を上げた。
「あんたとは行かないよ」
カカシの言葉に○○は迷う事なくクナイを投げ着けた。
「上忍は天ぷら嫌いだそうよ!」
○○はそう叫んだ。
「さようなら、この偽物!!」
クナイに付いていた綱手姫特性の起爆札が爆発する。
ドグンッ!!!と言う爆発音と爆風。
「きゃっ!!!」
○○は耐えきれずに吹き飛ばされる。
「はい、お疲れ様ー」
カカシが飛んできた○○を抱き止める。
「じょ、上忍」
○○はカカシを見上げる。
「良く見破ったじゃない」
カカシがにこりと微笑んだ。
「えぇ、はたけ上忍が任務を放棄するとは思わなかったので」
○○はホッとした様に笑った。
「そうだね。……しかし、凄い威力だね」
カカシは感心した様に吹き飛んだ洞窟を見た。
「…………綱手様がはたけ上忍に使えと…………」
その恐ろしさにぶるりと身を震わせた。
「…………え?」
さすがのカカシも顔を青くする。
「それから」
「まだあるの?」
○○は閃光弾を取り出す。
「これを打ち上げれば本人が来ると」
「………………」
○○の言葉にカカシは深いため息をついた。
「あ!」
「ん?」
カカシが洞窟から離れてから○○を下ろした。
「指輪!指輪は?」
○○は慌てて洞窟を見た。
跡形もなく崩れていた。
「してるじゃない」
「へ?」
「ほら」
カカシが○○の左手を掲げた。
「うわぁ!良かった!!」
○○は安心して自分の左手の薬指にはまった銀色の指輪を見た。
「ほら、俺も」
カカシも左手を掲げた。
カカシの薬指にも銀色の指輪がはまっていた。
「…………なんか、これって、まるで…………」
同じ指にはまったお揃いの指輪。
「ま!俗に言う結婚指輪ってやつだね」
カカシはにこりと微笑んだ。
「は?はぁぁぁぁぁ?!!!」
○○は驚きに声を上げた。
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