07
2人の忍が木々の上を走り抜ける。
巻物はツーマンセルの隊長であるカカシが持ち、○○はその後を必死で追うだけだ。
(はぁ、今度は一体何なんだろう)
○○は思いきりため息をついた。
数日前、突然はたけカカシの子を孕めと命じられ、それを実行しようとしていた矢先、新たな任務を与えられた。
しかも、カカシと○○のツーマンセルだ。
指令書はカカシが持っているので、○○は内容も解らずに、ただカカシの後を追うだけ。
これを命じた綱手の機嫌の良さが逆に気になる。
(最近振り回されてるなぁ)
○○は再びため息をついた。
前を行くカカシから指示を受け、2人はとある岩陰に身を潜めた。
そこは、森を抜けた場所だった。
「あそこ、見える?」
カカシの指差す方を見ると、何やら遺跡の様な洞窟が見えた。
「はい。何だか人工物の様にも見えますね」
○○は良く見ようとそっと目を細めた。
「ご名答。あれは昔滅びた隠れ里の神聖な場所だったんだよ。ま!木の葉とも深い繋がりが有った様だけとね」
カカシが軽く頷いた。
「それで、私は何を?」
○○は指示を待つ。
「ん、これから2人であの洞窟に入る。この指令書によると、中で2ヶ所に分かれてるみたいだから、そこからは別行動」
カカシの指示に○○は頷く。
「指輪はそれぞれ奥にあるらしいから」
「指輪は2つあるって事ですか?」
「そうみたいね」
カカシがこくりと頷く。
「何故そこまで解ってるのに、今まで取りに行かなかったんでしょうか?」
○○は不思議に思い、聞く。
「さぁね。ま!今必要になったからでしょ!」
カカシが軽く答える。
「……私は与えられた任務を遂行したいと思います」
「そうしよう」
カカシが笑いながら頷いた。
「でも、あの洞窟って誰かいるうううぅっっ?!」
洞窟を見ていたら、カカシに後ろの首筋を舐められた。
「な、何するんですか?!」
「いや、美味しそうだなって」
「………………」
カカシの思いの外真剣な表情に呆れてしまった。
「ちょっとやる気出したいんだけど?」
カカシがズイッと○○に顔を近付けた。
「…………なにする気ですか?」
怖々カカシを見上げる。
「ん?キス」
「に、任務中ですが!!」
「二重任務でしょ?」
「…………」
カカシの言葉に○○は押し黙る。
相手は上忍。逆らうだけ無駄なのだ。
「…………わ、わかりました」
○○はキツく目を閉じる。
カカシは口布を人差し指でずらすと○○の唇に己のそれを重ねた。
「……?」
「はい!おしまい」
触れるだけの口付けに不思議そうにする○○。
「足りない?」
「っ!!そんな事ありません!」
クスクスと笑うカカシに顔を赤くして怒る○○。
「帰ったら続きしようね」
カカシは楽しそうに耳元で囁いた。
「っ!!」
(上忍怖ぃぃぃ!!!!)
○○は顔を真っ赤にして、そして青くした。
その顔にカカシは満足気に微笑んだのに○○は気付いてはいなかった。
「じゃあ、行こうか」
「はい」
カカシの真剣な眼差しに○○も緊張気味に頷いた。
カカシのスピードに必死に着いていき、あっと言う間に入り口までたどり着く。
カカシは目だけで合図をし、○○は了解の意味で頷いた。
2人は人気の無い洞窟内へ侵入する。
気配を探っても誰もいない。
○○の緊張はそれでも崩れなかった。
カカシに付いて奥へ奥へと足を進める。
程無くして、道が2つに別れていた。
カカシが右側を指差す。○○はこくんと頷いた。
そして、そちらに行こうと飛び出そうとし、
「っくへ!」
襟をカカシに引かれ、息が一瞬止まる。
「んっ!」
カカシの膝に仰向けで倒れ込んだと思ったら、口付けられる。
「っ!!」
嫌だと押し返すが、男の力に勝てるわけもなく、されるがままになる。
「っはっ」
長く深い口付けが終わると肩で息をする。
「良い顔」
カカシは口布をしながらニヤリと笑った。
「っ!!…………行きます」
○○はカカシを睨み付けると低い声を出した。
「気を付けて」
「……はい」
カカシの言葉に素直に頷いた。
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