06
唇が、舌が自分を這いずり回り、時折痕をつけていく。
(こんな独占欲みたいな事するなんて、意外だ)
○○は霞のかかる頭でそんな事を考えていた。
「っくっ、ん……」
無言のカカシに攻められ、○○は自分の口から声が漏れるのを我慢するために唇を強く噛んだ。
「血が出るでしょーが」
初めてカカシがそう声を出し、ベロリと○○の唇を舐めた。
「わっ!!」
驚いて思わず声をあげる。
カカシはニヤリと楽しそうに笑うと○○のへそ辺りに顔を埋めた。
「ふっ……はぁっ」
唇を噛めずに口から甘い吐息が漏れる。
「っ…………あんまり可愛い反応しないでよ」
カカシがずいっと顔を寄せた。
「初めは酷くしたくないのよ、これでも」
「っ!!」
カカシの言葉が、笑顔がとても恐ろしく感じた。
感じたが、体はぞくりとする。
カカシはそのまま口付ける。
両手は○○の体を撫で回す。
「んっ、あ、まっ」
ーーコンコン
「っ!!」
来客を知らせる音に○○の体がびくりと震えた。
「シッ!」
カカシが口布を付けない唇に指を立てる。
「…………」
○○は上忍の命令は絶対だとコクコクと首を上下に振った。
ーーコンコン
「カカシ先生ー!」
場違いな明るい女の子の声がドアの向こうからする。
「…………」
カカシは少しうんざりした顔をしながら口布を付けて服を正す。
○○も慌てて彼に従い服を正した。
ーーゴンゴン
「カカシ先生ー!師匠が今すぐ来いって言ってますよー!」
激しいノック音に○○は慌てて髪の毛を手櫛で整えた。
「そこにいるのは分かってますよ!!おりゃ!」
ーーバキッ!!!
「やっぱりカカシ先生いるじゃないですか!」
ピンク色をした髪の毛の可愛らしい女の子がドアを殴り、破壊した。
「…………」
○○は思わず絶句する。
忍だって、して良い事と悪い事がある。
「あのねぇ、サクラ。俺だって忙しいのよ。それにこれは器物破損」
「あ!貴女がもしかして○○さん?師匠が貴女の事も呼んでいました」
女の子ーーサクラがカカシを無視する形で○○に向かってにこりと笑った。
「し、師匠?」
○○は不思議そうに聞き返す。
「ええ!綱手様です!……顔赤いですね。体調悪いんですか?」
サクラが心配そうに○○を覗き込む。
「いえ!大丈夫です」
○○は無意識にカカシに痕を付けられたであろう場所を隠す。
「サクラは医療忍者として優秀なんだよー」
のほほんと答えるカカシが憎たらしく思えた。
「結構です!」
○○はカカシを睨み付けた。
「あの、すみません。私、でしゃばって……」
サクラがションボリとする。
「え?ち、違うの!サクラちゃんのせいじゃなくて!」
○○は慌ててサクラに駆け寄った。
「あーあ、泣かせた」
カカシが楽しそうに言う。
「上忍は黙ってて下さい!」
○○はイライラとカカシを睨み付ける。
「ごめんなさい。貴女のせいじゃないの。気にしないでね」
にこりと○○はサクラを落ち着かせる様に笑った。
「……ありがとうございます」
サクラもにこりと笑った。
「ほんじゃま、綱手様の所に行こうかね」
カカシがのほほんと言う。
「…………」
○○はイラッとカカシを見た。
しかし彼はその視線に気付いてニヤリと笑うだけだった。
「お呼びでしょうか」
カカシが綱手を前に声を出す。
部屋には綱手、シズネ、カカシ、○○の4人で、サクラは修行だと出て行った。
「おぉ!来たか」
綱手は嬉しそうに声を出した。
「ツーマンセルで任務を与える」
綱手はビシッと声を出した。
「俺達はもう任務を」
「喧しい!!!」
(ひぃぃぃ!!!)
カカシの言葉に綱手がバンッ!と机を叩いた。
「こんな時間からですか?」
カカシが眠たそうな目をする。
「寝るつもりなど無かっただろう」
綱手は眉間にシワを寄せる。
「……えぇ、まぁ」
カカシがちらりと○○を見てから頷いた。
(…………死ぬ。この人絶対に鬼だ!)
○○は冷や汗をたらした。
「とにかくだ!お前達にはこの巻物にある場所まで行け!そしてそこで指輪を持って帰って来い」
「指輪?」
綱手の説明に○○は不思議そうに聞き返す。
「そうだ。失敗は許さんからな!」
綱手はニヤリと笑った。
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