04
「…………はぁ……」
一昨日から気付くとため息をついてしまう○○。
今日の仕事もあまり身が入らずにいた。
「はぁ……。こう言う時は何か甘い物でも食べようかな」
○○は帰り道甘味屋に寄る事にした。
夕飯は食べていないが、特別食欲もある訳ではないので、甘味で済ませようとしたのだ。
「いらっしゃい!」
「クリームあんみつ1つ」
「はいよ!」
席に座りながら注文をした。
「ねぇねぇ!あれ!カカシさんだ!」
「あ!本当!」
後ろの席の女性客の声につれられて外を見るとそこにははたけカカシが歩いていた。
「やっぱりカッコイイ!!」
「本当よね!次の火影も彼って噂よ!」
「そうそう!あ!そう言えば最近あの子、振られたらしいわよ」
「え?カカシさんにくっ付いてたって子?」
「そう!もう本命を決めたって言ってたみたい」
「えー?!誰?」
「さぁ、そこまでは教えてくれなかったけど」
「あのカカシさんが女を一人に絞るとは!」
「ね!誰かしら?」
「紅上忍とか?」
「紅上忍ならアスマ上忍でしょ!」
「そっかー。あ!そう言えばこの前ね」
「クリームあんみつお待たせしました!」
店員の持ってきたクリームあんみつに意識を戻した。
甘いはずのクリームあんみつが何だか苦く感じた。
「…………何時に行けば良いのかな?」
着替えなどの荷物を作りながら○○はふと時計を見た。
時刻は午前9時。
「えーっと、着替えにパジャマに下着に化粧品……後は」
忘れ物が無いかをチェックする。
「よし!こんなもんかな」
○○は少し大きくなった鞄を見た。
忍が大荷物とはいかがなものか?
「……でもさぁ。家に来いって言っても場所知らないのよね」
○○は独り言を言いながらため息をついた。
「まぁ、良いや。向こうから何かアクション起こして来るまでのんびりしてよー。ミルクティでも淹れて」
○○は自身を落ち着かせる為に小鍋に水と紅茶を少し入れ煮出し、ミルクをたっぷりと入れた。
「いただきまー」
ーーカタン
「す?」
玄関の方で何かの音がした。
○○はミルクティ片手に玄関へ行く。
「ん?巻物……手紙かしら」
○○が中身を見る。
「えーっと、『急な任務が入った。夕方には終わる。迎えに来る』……。はたけ上忍来てたのか」
○○は少しホッとしてミルクティを飲んだ。
お昼ご飯は残り物の野菜をたっぷり使って野菜炒めを作った。
そして、眠れなかったら困ると、お昼寝をする事にした。
満腹な腹と程よい暖かさの日差し。
○○は静かに目を閉じた。
ーーコンコン
「ん?」
ーーコンコン
来客を知らせる音に○○は目を覚ました。
「はーい」
眠たい目を擦りながらまだぼやける頭で玄関を開けた。
「や!来たよ」
「……………………あぁ」
にこりと笑うカカシに○○は思い出した様に呟いた。
「なんか、冷たくない?」
「いえ、そんな事は。任務、お疲れ様でした」
○○は丁寧に頭を下げる。
「どーも。さて、行こうか」
カカシが外を指差す。
「はい」
○○は出掛けの確認をして、荷物を持った。
「悪かったね。遅くなって」
「いえ、全然。もっと遅くても」
「それはそれで傷付くんだけど」
「……すみません」
カカシののほほんとした口調につい口を滑らせてしまう。
仮にもカカシは上忍だ。中忍の○○が反論して良い相手ではない。
「ま!良いか。持つよ」
カカシが○○の荷物を軽々と奪った。
「え?いや!そんな」
○○は慌ててた。
何だか逃げられない(元から逃げられないのは知っているが)、退路を断たれた気分がした。
「俺の家はそっちね」
そう言いながらカカシは家に向かった。
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