03
「はぁ……」
○○は歩きながら重たいため息をついた。
思い出すのは昨日の事。
何故かはたけカカシの子を産まなくてはならなくなってしまったのだ。
○○は頭痛のする頭を押さえた。
すでに明後日にはカカシの家に行かなくてはならない。
(こう言うのって、どこかに宿でも借りてやるもんだと思ってたわ)
○○は何故わざわざカカシの家に行かなくてはならないのだろうかとため息をついた。
(嫌だなぁ……。気が重いなぁ。逃げようかな)
その手があると○○は拳を握った。
(よし!逃げよう!あの温泉でも行って!はたけ上忍には同僚の美人さんをあてがえば)
「やぁ、○○」
「ぎゃぁぁ!!!」
突然後ろから声をかけられて○○は思わず叫んだ。
「何て言うか、色気の無い悲鳴だね」
「は、はははははははたけ上忍!!」
慌てて振り返るとそこには頭痛の原因であるはたけカカシが立っていた。
「はが多いよ」
カカシがクスクスと楽しそうに笑った。
「……はたけ上忍は何を?」
○○は落ち着きを取り戻して声を出した。
「ん?任務帰り」
カカシは質問に答える。
「あ、お疲れ様です」
「どーも」
○○が頭を下げ、カカシはそれに答えた。
「何か私にご用ですか?」
声をかけられた手前、これを聞いておかなければならない。
「いや?特に」
カカシは軽く頭を傾げた。
「そうですか。それでは失礼します」
「○○」
○○が逃げるようにその場を離れようとしたが、すぐに名を呼ばれた。
「はい?」
「逃げるのはなしだーよ」
カカシはにっこりと○○の退路を絶った。
「…………まさか、そんな!」
「そ?じゃあ、明後日」
それだけ言うと今度はカカシがその場から消えた。
「はぁ」
「そうそう」
「ぎゃぁぁ!!!」
再び現れたカカシに○○はまた悲鳴をあげた。
「ちゃんと休暇願い出してね」
カカシはにっこりと笑った。
「……今から行く所です!!」
○○は悔しくてそう叫んだ。
「ん!じゃ」
カカシはそれだけ言うと今度こそ消え去った。
「はぁ……」
○○は胸に冷たい鉛でも入っているかの様な足取りで火影室へとやって来た。
ーーコンコン
「誰だ」
「アカデミー教師の□□○○です」
○○は昨日よりも少し低い声で言った。
「入れ」
「失礼いたします」
ガチャリとドアを開けて中へと入る。
「どうした」
綱手は書類から顔を上げた。
「えっと。休暇願いを」
○○は机に近付いて書類を渡す。
「……あの男ぉ!!!」
綱手は怒りに満ちた目で書類をグシャリと握り潰した。
(ひぃぃぃ!!!)
○○は半泣き状態で一歩下がる。
「休暇でなく、有給としてやる」
綱手はイライラと机に書類を叩き付けた。
「あ、ありがとう……ございます」
○○はビクビクと礼を言う。
「シズネ!!!」
「はい!」
綱手はシズネを呼ぶ。
シズネは心得ていた様で何かを○○に渡した。
「これは?」
○○は札を見る。
「起爆札だ」
綱手はずいっと体を乗り出した。
「ばっ?!」
「カカシが無理矢理嫌な事をしたら使え」
「は?」
綱手の言葉に○○は呆けるだけ。
「これは閃光弾だ。それでも止まらない時はこれを使え。私が出向く」
「…………」
綱手の言葉に等々黙ってしまった。
(え?何か凄い不安なんだけど……)
○○ははたけカカシと言う人物に恐怖を抱き始めていた。
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