02

スタスタと先を歩くカカシの後を必死に追いかける○○。

(私がはたけ上忍の子を?……あり得ないわ)

○○は忍としては尊敬できるが、異性としてはどうだろうかと考える。

年は少し上。見た目もカッコイイエリート忍。
そして、次期火影であると噂される程の人物だ。
木の葉の里のくの一なら、いや一般女性も彼を射止めようと必死になる。

しかし、女癖はあまり良くなく、泣かされた女はごまんといるとの噂だ。

「…………」

○○は小さくため息をついた。

自分には荷が重過ぎる。

「あの、はたけ上忍」

「ん?」

○○は思いきって声をかける。

「先程の話なのですが」

「ちょっと待ってね」

カカシは少し考えてからひょいと○○を横抱きにする。

「ふへ?」

「舌噛まないようにね」

にこりと笑うとカカシはそのまま高く跳ぶ。

「っ!!!」

○○は驚いてカカシの服にしがみついた。

そして、重さを感じさせない着地で建物の屋根の上についた。

「っと、上忍!私も忍の端くれです!これくらい跳べます」

○○は抱えられたままそう叫んだ。
実際、自分で跳んだ方が怖くない。

「ま!気にしないでね」

カカシは笑いながら○○を下ろした。

「……はたけ上忍」

○○はカカシを見上げる。

「ん?」

「あの、すみません。私で」

○○はカカシに頭を下げた。

「なんで?」

「いや、何でって……」

カカシの不思議そうな顔に○○は眉を寄せた。

「私は特別何かに秀でている訳でもないですし、その……特別美人って訳でもないですし……」

自分で言っていて少し悲しくなってきた。

「そんな事ないでしょーが」

「……」

カカシののほほんとした声に○○は押し黙る。

「ま!なるようになるでしょ」

カカシは気にした様子なく、軽い調子で言う。

「…………はい」

○○は渋々頷いた。

「ところで○○だっけ?排卵日はいつ?」

カカシは早速仕事の話に入った。

「あ、待ってください」

くの一は『色』の任務もある。(○○はアカデミーの教師なのでないが)基礎体温は毎日計っていて予測は出来る。

「えっと、5日後が予定日です」

○○はグラフを見ながら答える。

「それ、どれくらい信用できる?」

「私は30日周期なのでほぼ正確です。まぁ、前後2日間ずつくらいのズレはあるかもしれませんが」

カカシの質問に答える。

「そう。なら前後2日間は欲しいから、明明後日から俺の家に泊まりに来て」

カカシの言葉が死の宣告の様にガーンと頭に響いた。

「……と、泊まりですか?しかも上忍の家に?」

○○は恐る恐る声を出す。

「うん。いつそう言う気分になるか分からないしね」

カカシは何でもない様に言う。

「あの、はたけ上忍の家って、凄くプライベートな感じが……」

「ま!そう言わずに」

カカシがにこりと笑った。

「じゃあ、明明後日から5日間休暇願い出しておいてね。ん?この場合仕事になるのか」

「休暇?いえ、仕事が」

「別に良いけど立てないと思うよ?」

俺、しつこいし。とカカシはさも当然のように笑った。

「っ!!?」

(この人、鬼か?!)

○○は顔色悪く心の中で叫んだ。

「ま!とにかく宜しくね」

カカシはそれだけ言うとドロンと消えた。


「…………無理だぁ!!!」

○○は大声で叫ぶ事しか出来なかった。

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