04


「○○の着物も可愛いね!」

「あ、ありがとう!その着物も可愛いし、似合ってる!!」

そして、卒業式当日。
大学に早く集まって着付けをしてもらう。
袴にブーツ。ハイカラさんスタイルはやっぱり憧れだったから選んだ。
友達と似合う似合う!とはしゃぎ合った。

今日が終わると明日には実家がある田舎に帰るのだ。
帰ったらなかなかここには来られないから今日は楽しまなきゃ!



彩り豊かな着物、卒業式は短大、大学、大学院が同時に行われる。

短大と大学はあまり変わらないけど、大学院は黒いマントにあの四角い帽子をかぶる。
凄いカッコイイ!!

式が終わると大教室に集められ、学生書を返して、そのまま色々して、学科ごとの謝恩会。

私は短大なので、人数はそれほど多くはない。

それが終わると午後5時を過ぎていた。そこからは各々研究室や友達と飲み会は続くのだ。






私はレンタルの着物を脱ぎ、友達との待ち合わせの場所を一人目指す。

「っ!!え、エースくん!」

私は我が目を疑った。そこにはいつものテンガロンハットを被った彼がいた。

「よう、卒業おめでとう」

エースくんは私を待っていたかの様に近付いて来た。

「あ、ありがとう!あ!これから先輩の飲み会?」

エースくんはまだ2年生だから卒業式には関係ない。だから、きっと。

「いいや、○○に会いに来た」

「わ、私に?」

エースくんの言葉に私は驚いた。
あれからお互いに接点はなく、もちろん連絡先も交換していない。


「やっぱりさ、このまま「ハイ、サヨウナラ」とはしなくねェんだけど」

エースくんはそう真剣な顔をしながら私の手を握ってきた。

え?とうとう私幻覚を見てる?あれ?

「何とか、言えよ」

私が驚いて固まっているとエースくんが先を促すように聞いてきた。

「あ……で、でも……」

私の喉はからからで何を言ったら良いか何てわからなかった。

「俺さ、自分からキスとかしたの初めてなんだ。あの時初めて会った奴なのにデートの誘いも断らねェ。そんなにすこぶる美人って訳でもねェのに」

エースくんは失礼な言い方をしながらも私の頬に触る手は微かに震えていた。

「遠距離っても、所詮は国内だろ。気にするな。○○に休みがなきゃ俺が会いに行ってやる。まァ、夏休みとかだけだけどよ。それに、遊園地での借りがあるだろ?チケット代」

エースくんは私の手を離すと両手で私の顔を包むように触れる。

「なァ、俺はどうしたら良い?」

エースくんの表情は真剣なままなのに、何だか切なくて……。

「わ、私。エースくんが好きです」

私はぽろぽろと流れる涙をそのままにエースくんを見上げた。

「だ、大好きだから、このまま別れなくないよー。あ、会いに来て欲しい」

私はみっともないくらい涙を流しながら声を出して泣いた。

「……ひでェ顔だな」

エースくんはニヤリと笑うと私に唇を重ねて来た。

「お前さ、他に貰い手とかいなさそうだから、俺が貰ってやる。それまで待ってろ」

エースくんは私をぎゅっと抱き締めた。

「う、うん!うえーん」

「どうでも良いけど、鼻水付けんなよ」

「うわーん!」

私は泣きながらもエースくんに抱き付いていた。

「ったく、本当にめんどくせェ女だな○○は」

そう言いながらもう優しく髪を撫でてくれた。








貴方とならどこへでも









「ぐす、じゃあ私行くね」

「は?雰囲気的に言ってもこれから俺と行くだろ」

「え?えっと、だって、友達と約束が」

「明日には行くんだろ?会えねェんだろ?」

「そ、そうだけど……。友達とも会えなくなるもん」

「……はぁ、じゃあ、待っててやるから行って来い」

「え?い、良いの?」

「その代わり二次会とか行くなよ?明日は帰るまで一緒だからな?」

「う、うん」

「よし、赤外線」

「あ!待って!」

「古っ!!」

「あ!今バカにした!」

「わかったか?」






私は遠距離恋愛にも負けません!



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