02


私とエースくんは遊園地の入場ゲートをくぐり抜けた。

もう、この時点でうきうきドキドキだよ!
こうしてエースくんと一緒に遊園地デートが出来るなんて!!

「何から乗る?」

私はエースくんを振り返る。

「そうだな。せっかく来たなら全制覇するか」

エースくんはニヤリと笑うと近くの大型絶叫マシーンを指差した。

「ふふ!良いよ!」

私はエースくんの提案に乗る事にした。
何せ、絶叫系は大得意だ!

まずは入口近くにあった落ちる系、回る系をクリアする。

「うわー!目が回るー」

私はフラフラになりながら笑う。
おかしいな、いつもはこれくらいじゃ全然平気なのにな。

「な?これ面白れェよな!」

エースくんも機嫌良さそうに笑う。

「あ!ねぇ!あれも乗る?」

私はにこにことメリーゴーランドを指差す。

「あ?乗るわけな」

「乗り物は全制覇だよね?」

否定するエースくんに私はにこにことした顔のまま聞く。

「…………仕方ねェな」

乗り気ではないエースくんをメリーゴーランドまで何とか連れていく。

「ほら!外側は大きな木馬だよ!」

私は子供たちに混じってエースくんの隣にある木馬に乗る。
エースくんは渋々外側の大型木馬に乗った。

「エースくん!」

「んあ?」


ーーパシャリ


「うん!カッコイイ!!」

私はデジカメの画面を見ながら満足そうに頷いた。

「おまっ!何してんだよ!!」

珍しく照れたように怒るエースくん。
歯はむき出しだけど、可愛いメリーゴーランドに乗ってるから怖くない。

「写真!思い出に!」

私は言いながらもう1枚シャッターを切った。

「……ったく」

怒りながらも諦めた様にエースくんは笑った。
あぁ、その顔もカッコイイ。






「腹減った」

5個くらい乗り物に乗るとエースくんはお腹を押さえていた。

確かに結局遊園地に入ったのが11時過ぎてたからもうお昼も回っている。

「じゃーん!実はお弁当を持ってきました!」

私はここぞとばかりに重い思いで持ってきていたお弁当箱の入ったバックを掲げた。

「…………食えるのか?それ」

エースくんがじとりとした目で私のお弁当箱の入ったバックを指差した。

「ふふ!この日の為に練習したからね!大丈夫!!」

私は不敵に笑うとお弁当が広げられそうな広場まで移動した。


整えられた芝生にレジャーシートを広げて、その上にお弁当を並べた。

「どうぞ!」

シンプルな物ばかりだけど愛情はたっぷり積めておいた。
持ってきた麦茶も用意する。

「おお!見た目は行けそうだな!」

エースくんはお弁当を見て目を輝かせた。
っしゃ!!後は味だけだ!!

「いただきます!」

「いただきます!」

私たちは手を合わせると各々でお弁当に手を伸ばす。

「おにぎりはね、鮭にたらこに梅干し、昆布それから卵!」

私がおにぎりを説明しながら指を指す。

「卵!?おにぎりに卵入れるのか?」

エースくんが不思議そうな顔をしてくる。

「うん。うちは昔から入れてるよ」

私は卵のおにぎりに海苔を巻いてエースくんに渡した。

「…………うめェな」

エースくんは驚いた様にぽつりと呟いた。

「でしょ?でしょ?!良かった!どんどん食べてね!」

私は上機嫌におかずも進めた。

唐揚げ、エビフライ、ハンバーグ、卵焼き、タコさんウインナー、ブロッコリー、アスパラのベーコン巻き、ちくわキュウリ等々。

なかなか我ながらたくさん作ったと思う。

エースくんはそれをもくもくと咀嚼する。

そして

「え?え?!」

突然、それは本当に突然な出来事。
エースくんがエビフライをくわえたまま倒れてしまったのだ。

「え、エースくん?」

私は慌ててエースくんを揺り起こす。

「ぐーぐー」

エースくんからイビキが聞こえ始めた。

な、なんだ。寝てただけか。

でも、やっぱり寝ちゃうって事は私といてもつまらないって事か……。

「…………」

私は膝を抱えてしまった。
お弁当を広げたまま、他の人たちは楽しそうにしているのに、私の心は重たく沈んだ。

わかってるのに。

「…………はぁ」

私は泣きそうになるのを何とか堪えた。

「ふぁぁ!寝てた!」

突然起きたエースくんが大きく伸びをしてまたお弁当を食べ始めた。

「……無理しなくて良いよ?」

「あぁ?」

私はなるべく落ち着いた表情でまだ残るお弁当を片付ける。

「何をだよ?勿体ないからしまうな!」

私が持つお弁当箱をエースくんも持ち、そのまま奪うように自分の方へと引き寄せた。

「え?だ、だって」

私はおろおろとした。
美味しくないから、つまらないから寝るんじゃないのかな?

「あァ、悪いな。飯の時に寝ちまうのは癖なんだ」

エースくんは頭をかりかりとかいた。

「…………じゃ、じゃあ美味しくないからじゃないの?」

私は恐る恐る声を出した。

「あァ。結構いけるな!」

エースくんはにかりと笑った。

「ふ、ふぇーん!良かった!」

私は思わず感極まって涙が出てきた。

「おま、また泣くのか?ったく、めんどくせェ女だな」

エースくんはそう言いながらも困ったように笑ってくれた。



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