05
自宅のあるマンションの地下駐車場に到着する。
「ほれ、着いたよ」
シャンクスは何故か後部座席に座り縮こまった新妻に声をかけ、車から降りた。
「あ、はい」
○○も慌てて車から降りた。
シャンクスはトランクから大きな荷物を取り出すと、エレベータへと向かう。
「すみません、持ちます!」
「あ?良いよ」
○○の手をやんわりと断るとエレベータがやって来て乗り込む。
シャンクスがボタンを押すとエレベータは動き出す。
すぐに到着し、特に会話もないまま部屋に到着する。
「汚いが、上がってくれ」
「お邪魔します」
シャンクスは靴を脱ぎ捨てるとリビングへと向かう。
新しいマンションだが、部屋は雑然と汚れていた。
「……」
「ま、まァ、最近忙しくて家には寝に帰ってきてるだけだったからな」
シャンクスは苦笑いをした。
リビングのソファーとローテーブルを少しだけ片付けるとそこに○○を座らせた。
「なァ、ビールと水どっちが云い?あ、牛乳もあるぞー」
シャンクスはキッチンから声をかける。
「あ、お水を」
○○はそう答える。
「ほらよ」
シャンクスは座った○○にペットボトルに入ったミネラルウォーターを投げて寄越す。
「あ、ありがとうございます」
○○は受け取ると軽く頭を下げた。
「えーっと、○○サンだっけ?」
シャンクスはビールのプルタブを空け、ごくごくと乾いた喉に流し込む。
「はい」
「俺、シャンクス宜しく」
シャンクスはにかりと笑った。
「あの、すみません、何だか巻き込んでしまって……」
○○はペットボトルの蓋を空けること無く握り締める。
「いや、良いよ。あのオッサンに借り作っときゃ、色々役に立つさ」
シャンクスは笑いながらビールを煽る。
「……すみません」
○○は小さく声を出す。
「まァ、とにかく結婚しちまったんだ。仲良くやろうぜ?奥さん?」
シャンクスは楽しそうに笑った。
「……」
○○はその言葉にぞわりと嫌な汗をかく。
「オイオイ。そんな顔するなよ。別に取って喰えやしないんだ」
シャンクスは慌てて言う。
そんな顔をさせたくて言った言葉ではない。
「いえ、すみません」
○○は顔色の悪いまま口を押さえる。
「顔色悪いな。そこが客室だ。ベッドもある。今日はゆっくり寝な。俺の部屋はこっち。なんかあったら言ってくれ。トイレは廊下出て左。風呂はその隣だ」
シャンクスは適当に家の中を座ったまま説明する。
「ありがとうございます。すみません、今日は横になります」
○○は薄く笑うと荷物を持って立ち上がる。
「水は飲めよ」
シャンクスは未開封のペットボトルを指差す。
「はい。ありがとうございます」
○○は部屋へと消えていく。
そして、閉まる直前に再びドアが開く。
「ん?どうした?」
シャンクスは不思議そうに○○の顔を見る。
「よ、宜しくお願いします、旦那さん。お休みなさい」
○○は顔を赤くして、そう声を出した。
そして、パタンとドアが閉まる。
「………………今のは可愛いじゃねーか」
シャンクスはぽつりと呟いてビールを煽った。
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