03
あァ、嫌な予感はしてたさ。
まさか、こう言う事だったのか……
ベックマンがアポを受け取ったらしく、俺はセンゴクさんから呼び出されてとあるレストランに来ていた。
そこは高級レストランで有名で、何かおかしいなぁと思いながらも、ベックが「行け」と言うので来てみたら。
「おぉ、赤髪。こちらが○○さんだ」
センゴクさんの隣に静かに腰を下ろしていたのが、彼女だった。
シャンクスは暫し呆然としていたが、センゴクに声をかけられて、慌ててテーブルについた。
(ちっ、まさかお見合いをさせられるとは思わなかったな)
少し苛立った感想を持った。
きっとベックマンはセンゴクに聞いて知っていたのだろう。
自分が見合いをするのが億劫で、シャンクスをあてがった様だ。
(あいつ、そう言う所上手いからな)
シャンクスはやれやれと仕方なく息を吐いた。
今まで自由に過ごして来た彼は女に振り回されるのが億劫であった。
自分から惚れ込んだ女になら、甘えられても我が儘を言われても良いが……。
シャンクスはチラリと女を見た。
年は二十代くらい。
可愛らしいが、大人っぽいシックのワンピース。
派手過ぎない化粧。
(…………タイプ……ではないな)
シャンクスは瓢箪型の女性の体付きを思い浮かべながら、目の前の○○を見た。
女も何処と無くそわそわとしている様に見える。
(もしかしたら、彼女も見合いとは知らなくて?)
そんな考えが頭を過ったが、シャンクスには関係ないとため息を吐いた。
適当に話をし、食事を終わらせた。
特に成果がある見合いでは無いとシャンクスは思った。
「今日の日を記念してここに名前と住所と……その他もろもろと判子を押してくれ」
センゴクに言われ!怪しい形に折られた薄い紙を出された。
「……」
シャンクスは胡散臭そうにその紙とセンゴクを見比べる。
「どうした?赤髪。さっさと書かんか!」
「……」
「そう言えばお前さん、今度会社を立ち上げるそうだな」
「……あァ」
「今までの悪行の数々、私が知らんとでも」
「分かったよ!書きゃ、良いんだろ?!」
シャンクスはセンゴクからペンを奪い取ると、その紙に名前などをさらさらと書いていく。
変な項目もあるが、きっちり丸を書き、判子を押す。
「欄外にも頼む」
「判子をか?」
「そうだ」
センゴクに言われた通り、欄外にも判子をぺたんと押した。
仕事を立ち上げるのに、自分の判子が必要で、最近は常に持ち歩いていた。
「よしよし、次ぎはお前さんもだ」
センゴクは○○にも不自然に折られた同じ紙を差し出した。
「……」
○○も困った顔をしたが、センゴクの目付きが怖かったのか、さらさらと書き始めた。
(このオッサン怖いよな。何が‘仏のセンゴク’だよ)
シャンクスははぁとため息とついた。
「よしよしよし。今日はお前さん達帰って良いぞ」
「ほんじゃま、お疲れさんっ!」
センゴクの言葉にシャンクスは早々に立ち上がり、会社へと急いだ。
「おい!ベックマン!見合いさせられたぞ!!!」
「……良かったじゃねーか、とっとと身を固めろ」
「なら、お前がしろ!」
「断る」
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