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「もうすぐ社長」

ベックマンが子機を片手にシャンクスの元へやって来た。

「なんだ?その‘もうすぐ社長’って!」

シャンクスは笑いながらパソコン画面から顔をあげた。

「会社を起こすんだ。なら、慣れておいて損はない」

ベックマンは紫煙を吐き出した。

「はぁ、慣れ……ねぇ」

シャンクスはため息と共に言葉を吐いた。



学生時代からの仲間とつるんでとある会社で10年程修行を積んだ。

今や実績のある仲間と共に、今まさに会社を立ち上げようとしていたのだ。


「で、電話だ」

ベックマンが子機を投げて寄越す。

「おォ!誰からだ?」

しっかり保留ボタンを押されているのを確認してから聞く。

「鷹の目だ」

「鷹の目!!ずいぶん懐かしいな!」

シャンクスはライバルでもある友人の名を聞き、嬉しそうに電話に出る。

「もしもし?鷹の目か?」

『赤髪か?』

懐かしい友人の低い声が耳元から聞こえた。
赤髪と言うのはシャンクスの通り名で、それは見た目から取ったものである。

ちなみに、鷹の目と言うのも、金色の鋭い目から来ている。

「懐かしいな!どうだ?元気か?」

『あァ。お前に行って欲しい所がある』

挨拶も抜きで鷹の目は本題に入る。

「行って欲しい所ォ!?」

なんのこっちゃいとシャンクスの声は裏返る。

『あァ、センゴクを覚えているか?』

鷹の目の言葉に昔世話になった警察のお偉いさんを思い浮かべる。

「あ?センゴクのオッサンまだ引退してないのかよ?」

シャンクスは笑いながら声を出す。

『なんでも、引退祝いをするんだそうだ。お前にも声をかけろとガープに言われてな』

鷹の目は年上だろうが、年下であろうが、構わず呼び捨てにする。

「ガープのオッサンも来るって事はルフィもエースもサボも来るのか?」

『あァ、ロロノアも来るらしい。お前の仲間にも連絡してやれ』

「……そんなに入れる所なのかよ?」

『らしいぞ。場所はーー』

よく聞く高級ホテルの名前。

「分かった。詳しい日程が出たら教えてくれ」

『分かった』

用件だけ言うと電話は切れた。

「センゴクさんもとうとう引退か」

ベックマンが煙草を吹かした。

「あァ、時代の流れも早いな」

シャンクスが少し感傷的に笑った。

「もうすぐ社長、そんな事言ってないでチャッチャと仕事しろよ」

ベックマンは子機を受け取るとそう言う。

「分かってるよ!」

シャンクスは笑いながら答えて、再びパソコンに目を落とした。

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