10月生まれの方へ

夏の気だるい暑さも去り、空も高く、木々も紅葉して来た10月。


「今日は秋鮭のホイル焼きと、きのこの炊き込みご飯。後、がんもとこんにゃくの煮物と、アサリのお味噌汁にしようかな?」

○○は一人、近所のスーパーマーケットに来ていた。

「秋は美味しい物が増えるから嬉しいよね」

○○はるんるんとかごに食材を入れて行く。

「そう言えば今日は……。あっ」

そこで気付く。

「ケーキ作ろう!後、海老フライも作ろう!」

○○はいつもよりランクの高い海老をかごに入れた。






「ただいまー」

「お帰りなさい!」

少し遅いが、いつもより早い時間、シャンクスは玄関から帰って来た。

「はぁ、疲れた」

シャンクスはそう良いながら○○を抱き寄せる。

「っ!!お疲れ様です」

顔を赤くしながらも、シャンクスからの包容を受け入れる。

「何か、良い匂いするな」

シャンクスが鼻先にある○○の髪の匂いを嗅ぐ。

「そ、そうですか?」

○○はされるがままになる。

「あァ。腹へった」

「クスクス。ご飯にします?」

「うーん、いや、先に風呂に入る」

シャンクスは名残惜しそうに○○から離れ、風呂場に向かう。






「………………」

風呂から上がり、頭をタオルで拭きながらダイニングにやってきたシャンクスは、テーブルに並べられたご馳走に無言で立ち尽くす。

「シャンクスさん?」

○○は不思議そうにシャンクスを見る。

松茸の炊き込みご飯、秋鮭ときのこたっぷりのホイル焼き、有名所のがんもどきの煮物、アサリのお味噌汁、大きな海老フライと何故かイチゴのデコレーションケーキまでが並んでいた。

「…………ずいぶん豪華だな」

シャンクスは不思議そうに椅子に座り、並べられた料理を見る。

「え……えぇ。ちょっと豪華にし過ぎちゃいました」

○○は恥ずかしそうに笑った。

「…………何か……特別な日なのか?」

シャンクスは戸惑いながらも聞く。

まだまだ○○との時間は少ない。
記念日だとは考えにくい。クリスマスでもなければ、正月にも早い。ハロウィンにも……カボチャ無いし。

シャンクスはうーんと、首を捻った。

「と!とにかく食べましょう!いただきます!」

○○は恥ずかしそうに慌てて手を合わせる。

「あァ、いただきます」

「召し上がれ!」

○○は嬉しそうに食べ始める。

「うん!旨い!!」

シャンクスは炊き込みご飯を口に入れる。

「良かった!」

○○はいつもより嬉しそうに笑った。

「で?今日はなんの日なんだ?」

シャンクスは鮭のホイル焼きに箸を伸ばす。

「…………誕生日なんです」

「は?誰の?」

「…………私の」

「…………」

照れながら言う○○の言葉にシャンクスは固まる。

「だから、今日は少し奮発しちゃいました。図々しいですけど」

○○は困った様に笑う。

「……は?え?」

「……あの、いけませんでしたか?」

戸惑うシャンクスに○○はさすがに自分を祝うのに奮発し過ぎたかと焦る。

「いや!違う!!……もっと早く言ってくれよ」

シャンクスはため息をつく。

「…………ごめんなさい。買い物中に思い出して……。それに、自分の誕生日を祝うのなんて、何年ぶりかで……」

はしゃいでごめんなさいと○○は頭を下げる。

「そ、そうか。いや、俺も一緒に祝いたかったなと」

シャンクスは頭をガシガシとかく。

「祝っていただけてます!こうして一緒にご飯食べて貰ってますもん」

○○はシャンクスの言葉に嬉しそうに笑った。

「いやいや!なんかさ、ほら!プレゼントとかさ!」

シャンクスは困った顔をする。

「シャンクスがいれば良いです」

○○は嬉しそうに笑う。

「…………」

シャンクスは何か無いかと部屋を見渡す。

「シャンクスさん?」

突然席を立つシャンクスを不思議そうに見る○○。

シャンクスは○○がキチンと折り畳んで入れてある使用済みの包装紙などが置いてある棚を開ける。
ごそごそとあさり、黄色いリボンを手に帰って来る。

「……リボン?」

○○は不思議そうにシャンクスの手に握られたリボンを見る。

シャンクスはおもむろにそれを自分の首に巻き付け、器用に蝶々結びにする。

「ほれ、プレゼント」

「…………」

シャンクスはにかりと笑った。

「不満か?」

「シャンクスさん?」

「ん?」

「プレゼントって……」

「俺!」

シャンクスは自分を親指で指す。

「……?」

○○は不思議そうにリボンで飾られたシャンクスを見る。

「まだ結婚指輪も買ってやってないからな。本当はそっちを先にやりたかったが」

シャンクスは○○の左手を取る。

「まずは俺をやる」

「シャンクスさん……」

真剣な顔のシャンクスにドキリと胸が高鳴る。

「今日はそれで勘弁してくれないか?プレゼントは後日あらためてっ!○○?」

抱き付いて来た○○をシャンクスは危なげ無く抱き締める。

「ありがとうございます!!こんな素敵なプレゼント!初めてです!!」

○○は嬉し涙を流し、シャンクスを見上げる。

「○○。まァ、それにそろそろ頃合いだと思ってたしな」

シャンクスはニヤリと笑った。

「頃合い?」

○○は不思議そうにシャンクスを見上げる。

「あァ。ちゃんと愛してやるからな。今夜は覚悟しておけよ?」

「っ!!!」

シャンクスの見た事もない熱の籠った目に○○の頭はクラクラとする。




「誕生日おめでとう!!これからも宜しくな!奥さん?」

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