28
○○は家に帰り、夕飯の支度をしていた。
しかし、頭にあるのはエースの言葉。
「……もう、一緒に住む意味が無い……か」
○○はその言葉に落ち込む。
「……私、元々シャンクスさんに迷惑かけてたしね」
○○はしょんぼりとスープをかき混ぜる。
ーープルルル、プルルル
携帯の呼び出し音が鳴る。
「はい!もしもし!」
『○○か?やっと仕事が一段落したんだ。今日は帰るから、夕飯作ってくれないか?久し振りに○○の飯が食いたい』
耳元で聞こえてくるシャンクスの声にドギマギと心が揺れる。
「はい!用意して待ってます!」
『あァ、今車に乗ったから30分位で着く』
「分かりました。気を付けて」
『あァ』
シャンクスの笑いを含んだ声に○○の心が高鳴る。
「やったぁ!!シャンクスさんが帰ってくる!!」
○○は先程までも打って変わって嬉しそうに夕飯の支度に取り掛かった。
「ただいまー」
「お帰りなさい!」
シャンクスが玄関に入ると、同時に○○の声と共に姿を見せる。
「シャンクスさん、食事の用意してあります。お風呂も沸かしててあります。そ、それとも」
「ん?」
靴を脱いで○○を振り返るシャンクス。
「わ、私にしますか?」
○○は顔を真っ赤にしてそう口を開いた。
「っぷっ!!」
シャンクスは思わず吹き出した。
「シャンクス、さん?」
「だっはっはっはっ!!!あれか?前に俺が言った事だよな?それ」
シャンクスは大爆笑と笑い続ける。
「…………はい」
○○は顔を真っ赤にしたまま頷いた。
「あはは、お前は本当に可愛いな。じゃあ、風呂にするよ」
シャンクスは嬉しそうに笑いながら○○の頭を撫でる。
「っ!!着替えとタオル用意してあります」
○○は撫でられた箇所を触りながら声を出す。
「あァ、ありがとな、奥さん」
シャンクスは機嫌良さそうにバスルームに入って行った。
「おォ!旨そうだな!」
風呂に入ってさっぱりとしたシャンクスがテーブルに座る。
「今日は鳥のからあげと、鳥団子のスープです」
○○はどうぞとシャンクスと自分の分をよそり、席についた。
「いただきます!」
「いただきます」
シャンクスに続いて○○も手を合わせる。
「ん!旨いな!あー、○○の飯って安心するな!」
シャンクスは上機嫌で食事をする。
「ありがとうございます」
○○は嬉しそうに頷いた。
「俺、もう○○の飯無しじゃやってけねーな」
シャンクスは笑いながらスープを飲む。
「……」
○○は嬉しそうに押し黙る。
「ん?どうした?」
急に動きを止めた○○を不思議そうに見る。
「いえ……」
「何だよ?何か心配事か?」
シャンクスは箸を止め、○○を見る。
「……」
「何だよ?言ってみな。俺はお前の旦那だからな」
シャンクスは事も無げに言う。
「……それです」
「は?どれだ?」
シャンクスは不思議そうに○○を見る。
「……シャンクスと私が結婚したのって、センゴクさんの仕業ですよね」
「……そうだな」
「それは、私を逃がす為、ですよね?」
「……そうだな」
シャンクスは○○の問いに頷いた。
「……」
「○○?」
シャンクスは黙った○○を促す様に名前を呼ぶ。
「…………じゃあ、もう、シャンクスの側に私がいる意味は無い……ですか?」
○○は不安そうにシャンクスを見つめる。
「……そうか、なるほど」
シャンクスは難しい顔をする。
「でも、現に俺達結婚してるよな?」
シャンクスは難しい顔をしたまま○○に話しかける。
「え?ええ、はい」
○○は不安そうに頷く。
「俺は、けじめは付ける男だ。お前と結婚してる限り、お前を妻だと思ってる。お前を大切に思ってる。実際、結婚してから他の女に手も出してない」
「っ!!」
思いがけないシャンクスの言葉に○○は驚く。
「○○、お前は俺と夫婦なのは嫌か?」
シャンクスの言葉に○○は首を左右に振る。
「なら、今のままで良いんじゃないか?」
シャンクスは事も無げに言い切る。
「あ、の」
○○は恐る恐る声を出す。
「ん?」
「問題がひとつ」
「なんだ?」
「私、シャンクスさんの事が好き、なのですが」
○○はじっとシャンクスを見て、思いを告げる。
「…………そうなのか?」
「はい」
シャンクスは少し驚いて○○を見る。
「………………で?」
「はい?」
「○○が俺の事を好き。何が問題なんだ?」
シャンクスは不思議そうに○○を見る。
「え?えーっと、私の言うのはlikeじゃなくてloveなんですけど……」
○○は顔が赤くなるのをお構い無しに口を開く。
「あ、あァ、ありがとう」
シャンクスは頭を下げる。
「え?いえいえ」
○○はシャンクスにならい頭を下げる。
「なら、余計問題が見つからねー」
シャンクスは困った様に首を傾げる。
「え?私がおかしいんですか?」
○○も困った様に首を傾げる。
「夫婦なんだし、おかしい事もないだろ?」
シャンクスはぷっと笑った。
「…………そうですね」
○○はそうか、夫婦かと微妙に納得する。
「おう!」
シャンクスは食事を再開した。
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