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「フッフッフッ……!!声ひとつ出さねーとは、見上げた根性だな?○○チャン」
ドフラミンゴは欲を吐き出し、○○を楽しそうに見た。
「……」
○○は無言でドフラミンゴを睨み付ける。
「フッフッフッ!!!その目も良いな。また、夜に来る」
ドフラミンゴは○○の上から退くと、ニヤリと笑った。
エースには目もくれずに部屋を出ていく。
ーーパタン
ドアが閉まると部屋は嘘のように静まり返る。
○○は痛む体を無視して破けた服を何とか着直すと、隣の部屋のエースに駆け寄る。
「エース君!ごめんね!私のせいでこんな……」
○○は泣きそうになりながらエースの怪我に手を触れる。
「……ごめんね。こんな汚ない私が触れたら嫌だよね」
無言のエースに○○は泣くのを堪えて笑った。
「……んな訳あるか」
エースは吐き捨てる様に口の中の血を吐き出した。
「俺は……何も出来ずにわめいてただけだ。情けねェ」
エースの声は沈んでいた。
「そんな事ないよ!私は大丈夫だから」
○○はそう声を出すと、エースはようやく○○に顔を向けた。
「……殴られたのか?」
○○の頬は赤く腫れている 。
「……うん。いつも、ね」
○○は困った様に笑う。
「っ!!!くそっ!!!」
エースはガツンと額を床に叩き付ける。
「ちょっ!エース君?」
○○は慌ててエースを起こす。
「好きな女一人守れねェ……」
エースは小さく呟く様に声を絞り出した。
「……エース君。ありがとう」
○○は自分の置かれている状況を忘れたようににこりと笑った。
「は?何言って」
「こんな私をまだ好きだと言ってくれて」
驚くエースに○○は素直に言う。
「……」
「エース君は必ずここから出してあげるからね!」
「○○。……出る時は一緒にだ!」
「っ!うん!」
○○は嬉しそうに頷いた。
「さて、どうするかだな。隣の部屋には何があった?」
エースがチラリと開いているドアを見る。
「……ソファーがひとつだけ。窓もないの」
○○は困った様に声を出す。
「そうか。この縄が解ければどうにかなるんだがな」
エースは忌々しげに縄を見る。
「何かないかしら……」
○○はキョロキョロと辺りを見回す。
「ん?」
ソファーの下に何かを見つける。
重いソファーを動かすのに時間はかかったが、何とか見付けたそれは、立派なジッポ。
「エース君!これ」
「よし!それでこれ燃やせ」
「……え?」
エースの声に○○は不安そうに眉毛を寄せる。
「大丈夫だ。この縄さえ外れたらどうにでもなる!早くしろ」
「う、うん」
エースの声に負けて、○○は火をつける。
そして、縄を燃やしていく。
「もう少し」
エースが呟く。しかし、縄の焼ける臭いで、外の人間が気付いたようだ。
ーーガチャッ
「貴様ら何をしてる!」
大柄な男が一人部屋に入ってくる。まだ焼き切れていない縄を○○は背に隠す。
「な、なんでも!」
○○が言うと、破れた服から白い肌が見える。
「へへっ、こんなに汚れてるなら一回くらいしてもバレないだろう」
男は○○の服に手をかける。
「っ!!」
「離せ」
「貴様!縄を!!」
○○の服を掴む手を、縄が外れた手で掴む。
「○○に触るんじゃねー!!!」
エースは思いきり蹴り倒す。
「っ!!!」
股間を蹴られた男は悶絶しながら意識を失った。
「よし!」
エースはふんと鼻を鳴らす。
「○○、これ着てろ」
エースは顔を赤くして背け、ジャケットを○○に渡す。
「ありがとう」
○○は自分の服を見て、慌ててエースのジャケットを着込む。
「丁度ドアも開いたしな。行くぞ」
エースは手を出す。
「うん」
○○は差し出された手を掴んだ。
エースは丁寧に出てくる男達を倒しながら先へ進む。
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