21
「ふーふふーん」
鼻歌混じりで上機嫌料理を作るのは○○。
あの、デパートでドフラミンゴと会ってから、特に向こうからの行動は無く、平和である。
元々「何で私なのかな。美人な人なら世の中に溢れているのに」と思っていた○○は、やっとドフラミンゴから解放されたと思い、毎日を楽しそうに過ごしていた。
それに反比例する様に、何も仕掛けて来ないドフラミンゴを怪訝に思うのは現夫のシャンクス。
あの様子じゃあ、○○を諦めてる感じは微塵もしない。それどころか、自分が関わっている事を楽しそうにしていた。
改めて「厄介な相手だ」とシャンクスは日々を過ごしていた。
「出来ましたよー!」
○○は料理を皿に盛り付けると、シャンクスを呼んだ。
「あァ、良い匂いだ。今日はオムレツか?」
シャンクスは嬉々としてテーブルについた。
「はい!スペイン風オムレツです!味が足りなかったらケチャップで。私は粒マスタードが好みです」
○○は上機嫌でテーブルにケチャップと粒マスタードを置く。
「どっちも良いな!よし!頂きます!」
「頂きます」
シャンクスに習い、○○も手を合わせる。
「お!このままでも旨いな!」
シャンクスはパクパクとオムレツを食べる。
「ありがとうございます」
○○は嬉しそうに頷いた。
「そう言えば、明日ですよね!シャンクスさんの会社の完成!」
○○はご飯を食べながら聞く。
「あァ、建物な!明日来るんだろ?」
「はい!エース君達が遊びに来るので皆で」
○○はにこにこと嬉しそうに笑う。
「何だよ、堂々と浮気か?」
シャンクスは冗談めかして言う。
「なっ!何を言ってるんですか。相手は高校生ですよ?」
○○はクスクスと笑った。
「クク、まぁ、明日は迎えに来るから、それまで家にいてくれよ?」
シャンクスはビシッと言う。
「?エース君だけじゃなくて、サボ君もルフィ君もいるから、迷子にはならないですよ?」
○○は不思議そうにお茶を飲む。
「いや…………あいつが何かしないとも限らないからな」
シャンクスは真剣な顔をする。
「っ!……もう、終わったんじゃないんですか?」
○○はびくりと震えて不安そうにシャンクスを見る。
「…………だと、良いが……。用心に越した事は無いだろ?」
(俺といる事がバレてるんだ。この家だって、安全とは限らない)
シャンクスはご飯を口に放り込みながら考える。
「わかりました。明日は迎えを待ってます」
「そうしてくれ」
○○の素直な声にシャンクスはにっこりと微笑んだ。
「「「お邪魔します!」」」
ピシッとお辞儀をする3兄弟。
ルフィだけは、両側から兄たちに頭を押さえられている。
「いらっしゃい!ケーキ焼いたの。食べる?」
「食う!」
「やった!」
「いただきます!」
3兄弟は嬉しそうに頷いた。
○○がカチャカチャとケーキの用意をする。
リビングに行くと、少年達はテレビにコードを繋いでいた。
「何?ゲーム?」
○○はテレビ前のローテーブルに紅茶とケーキを並べる。
「おう!やった事あるか?」
ルフィは楽しそうにコードレスのコントローラーを○○に見せる。
「ううん。無い」
○○は首を左右に振る。
「ちょっと前に流行ったやつだけどね」
サボがコントローラーをあと3つ取り出す。
「何が出来るの?」
○○は興味津々とコントローラーを受けとる。
「何が良いか?ボウリング、テニス、野球……」
エースが繋ぎ終えたゲームを起動させ、画面を出す。
「凄いね!ワイヤレスな上に、コントローラーの動きを感知するんだ!」
○○は楽しそうにくるくるとコントローラーを回す。
「○○ってさ、有名なマンガとかゲームとか時々知らないよな!」
ルフィは不思議そうに声を出す。
「そ、そうかな?」
元夫がもたらす情報は片寄っていた。
少年達が欲する情報と、元夫の欲する情報は噛み合わない。
「よし、ならテニスだ!ダブルスで丁度4人だ!」
エースがそう決めると、テニスを選ぶ。
キャラクターはそれぞれルフィ、エース、サボそっくりだ。
「これさ、○○のも作れば?」
サボが画面に写し出されるキャラクターを指差す。
「「賛成!!!」」
ルフィとエースがニヤリと笑った。
「おい!○○!こっち向け!」
画面上に自分に似ているであろう顔が出来上がっていく。
「はいはい」
○○はにこにことエースの方を向く。
「よし!可愛い!!」
エースは真面目な顔で画面と○○を見比べる。
「クスクス、ありがとう」
○○は少年達を楽しそうに見る。
「○○!!ケーキ旨いな!」
「あっ!それ俺の!!」
まだ残っていたサボの皿からルフィがケーキを盗み食いしていた。
「まだあるよ。持ってくるね」
○○がキッチンからケーキを持って帰って来ると、3人はじゃん拳をしていた。
「勝った!○○!俺と組むぞ!」
エースがチョキの手のまま○○に笑いかける。
「あぁ、組分け?」
「いや、○○争奪戦」
「くそー!○○と組みたかった!!」
サボの言葉に続き、ルフィが悔しそうに叫ぶ。
「よし!ルフィ!2人でエースに勝とう!!」
「おう!○○鈍そうたしな!!」
「返り討ちにしてやるぜ」
「って、ルフィ君、酷くない?」
○○は楽しそうに笑った。
「って!○○強くないか?!」
サボが驚いて声を出す。
「これ、リアルで楽しいね!テニスなら中学生とか高校生でやったし」
○○、エース組が圧倒的強さでサボ、ルフィ組に勝った!
「悔しい!もう一回!!」
ルフィが叫ぶ。
「何度やっても同じだ!」
エースは鼻を鳴らす。
「しかし、エースもサボも強いサーブ打ち過ぎ!」
○○はクスクスと笑った。
「「慣れ!!!」」
兄2人は事も無げに言う。
「もう一回!!」
「よし!やるか!」
ルフィの言葉にエースが頷いた。
そうして、気付けば夕方になっていた。
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