14

「楽しかった!」

「ほら、フラフラするな」

シャンクスはやれやれと○○に手を伸ばす。


焼肉屋から3兄弟から別れ、シャンクスと○○は2人で帰路を歩いていた。
○○は満腹と少しのアルコール。それから笑い過ぎでフラフラとした足取りだ。


シャンクスの手が触れた瞬間、びくりと体を震わせ、反射的にシャンクスの手を弾いてしまった。

「っ!す、すみません!!」

○○は自分の行動に驚いたのか、シャンクスに慌てて謝る。

「……いや」

シャンクスは弾かれた手を見て声を出す。

「なァ、お前一体誰から逃げたんだ?」

シャンクスは○○を見る。

「………………」

シャンクスの質問に○○はびくりと体を震わせ、両手で自分自身を抱き締めた。

「そこは聞いとかないとな。色々と対策練った方が良いだろ?」

シャンクスは安心させる様に笑った。

「…………夫……だった人……です」

○○はポツリと呟いた。

「……結婚してたのか?」

シャンクスは少し驚いた様に目を見開く。

「……はい。…………怖くて、怖くて……。センゴクさんとガープが助けてくれなかったら……」

○○は涙をポロポロと流しながら言う。

「…………名前、教えてくれるか?そいつの」

シャンクスの言葉に○○の体は震え出す。

「……っ」

「大丈夫だ」

「っ!」

シャンクスは震える○○を腕に閉じ込める。
反射的に離れようとする○○を離さぬ様に力を込める。

「大丈夫だ。センゴクさんもガープさんも味方だし、俺もちゃんと守ってやる。お前の現夫は俺だぞ?」

シャンクスは力強い声で言う。

「でも、めいわく」

「俺はそんなに弱くないぞ?乗り掛かった船だ!俺に任せろ!な?」

泣き続ける○○に声をかけ続ける。

「……」

「言っちまえよ!な?楽になるぞ!」

シャンクスの声に○○は息を飲む。

「…………ドンキホーテ・ドフラミンゴ……」

「っ!良く、言ってくれたな」

○○はその名前を言うだけで激しく震え出す。

シャンクスはきつく抱き締めて背中をぽんぽんと叩いた。

(よりによって、ドフラミンゴか……。また、厄介な野郎だな)

シャンクスは正直、顔を歪めたくなるほどに嫌か相手だと思った。

「大丈夫だ。お前は何も心配しなくて良い」

そう思いながらも口から出て来るのは○○を安心させる為の言葉ばかりだった。





「もしもし、鷹の目か?」

『なんだ、赤髪か』

「ちょっと調べて欲しいんだが」

『なんだ、また厄介事か?』

「ははは、そう言うなよ。実はな」



『厄介事以外の何事でもないな』

「そう言うなって」

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