10

「さて、少し早いが行くか?」

時刻は9時半。
シャンクスは車のキーを持つと○○に声をかける。

「あ、はい!」

○○はあらかじめ用意してあったハンドバッグを持つとシャンクスを追って玄関へ行く。

エレベータに乗ると地下駐車場に行き、車に乗り込む。

「待て待て!助手席に乗れよ」

シャンクスは笑って前を指す。

「え?」

「寂しいだろ?新婚夫婦として」

シャンクスは苦笑いをした。

「あ、はい」

○○はそうかと納得して一度外に出て、助手席に乗った。

「良し、じゃあ行くぞ」

「はい!お願いします」

○○はにっこりと笑顔で頷いた。




着いた先は大型ホームセンター。

「…………ここで良かったのか?」

シャンクスは呆れながら大きな建物を仰ぎ見た。

「はい!買い物なんて久し振りです!行きましょう」

○○はにっこり笑うと小走りに入り口へ向かった。

「おい、走って転ぶなよ!」

シャンクスは笑いながら声をかけた。



「えっと、あ!柔軟剤と、洗剤」

「おい」

「この匂いはどうですか?」

「え?あァ、こっちが良い」

シャンクスは匂いを嗅いで決める。

「はい、ならこっちにします」

○○は笑顔でカートに柔軟剤を入れる。

「いやいや、だから」

シャンクスは思わず突っ込む。

「え?こっちでしたか?」

○○は不思議そうに首を傾ける。

「違くて、お前の買い物じゃないのか?これじゃあただの買い物じゃねーか」

シャンクスは苦笑した。

「え?でも、あの家物が少なくて……」

○○は申し訳なさそうに言う。

「……悪かったな」

シャンクスはため息をつく。

「…………すみません」

「いや、謝って欲しい訳じゃ」

シャンクスは謝る○○を見る。

「私、もう3年くらい外に出て居なかったもので。こうしてシャンクスさんと一緒に買い物するのが楽しくて」

少し頬を染めて○○はポソポソと呟いた。

「…………そっか。なら、楽しむか!」

シャンクスは自分の頭をガシガシとかいてから、にかりと笑った。

「っ!はい!」

その笑顔に嬉しそうに○○は笑った。

「じゃあ、後なんだ?」

シャンクスが○○に近付いてメモを覗き見る。

「っ!えっと」

○○は驚きながらも、嫌な気はしないと不思議に思った。




「っとー!買ったな!!」

会計を済ませ、シャンクスは荷物を車のトランクに入れる。

「ふふ、はい!歯ブラシもシャープも買っていただいて、すみません!」

自分の物は自分で買おうとしたら、カード一括でシャンクスは買ってしまった。

「大した金額でもないだろ」

シャンクスはクスリと笑った。

「いえ、何だかんだで、ケーキ型とかキッチン用品まで……」

大量に買い込まれた荷物の中には日用品以外にもケーキ型や、フライ返しの他、泡立て器やクッキー型なども入っていた。

「あァ、そうだなぁ。楽しみにしてるぜ、奥さん?」

シャンクスはニヤリと笑った。

「っ!はい!頑張ります!!」

○○はにこりと笑った。




「腹が減った。飯行くぞ!」

シャンクスの一言で2人はラーメン屋に来ていた。

「……」

○○は久し振りのラーメン屋。しかも平日なので、スーツを来た男の人ばかり。
○○は少し居心地悪そうに狭いカウンターに座った。

「ここな、汚ない店だけど旨いんだよ」

「テメェ、シャンクス!!!汚くて悪かったな!!」

シャンクスの言葉にラーメン屋の店主が怒る。
大きな赤っ鼻の男だ。

「だはは、バギー相変わらずふざけた顔だな」

「うるせェよ!!!用がないなら帰りやがれ!!!」

「そう言うなよ。俺とお前の仲だろ?」

「俺はお前に怨みこそあらば、仲良くする気なんてこれっぽーちもねーんだよ!!!」

「あ!ラーメン2つな!」

「聞けよテメェ!!!」

「後餃子もな」

「あいよっ!!!」

シャンクスと赤っ鼻の店主ーーバギーの言い争い(怒鳴ってるのはバギーだけ)を聞いて○○は目をパチクリと瞬かせた。

「お友達ですか?」

○○はシャンクスにおずおずと聞く。

「お友達じゃねー!!!」

それに反応したのはシャンクスでは無くバギー。

「っ!す、すみません!!」

○○は怒鳴られた事に恐怖を抱きながら謝る。

「おい、バギー。うちの奥さん怖がらせるなよ」

シャンクスは苦笑いをバギーにする。

「奥さんんんー?!!」

バギーは○○をじっとりと見る。

「は、初めまして、○○と申します」

○○は困った様にお辞儀をする。

「なんだよ、シャンクス。テメェ結婚したのかよ?」

バギーは落ち着きを取り戻りしてシャンクスに目を向ける。

「あァ、まぁな」

シャンクスは笑って水を飲む。

「お嬢さん」

「はい!」

「苦労するぞ」

「は、はい?」

バギーのしみじみとした声に○○は一抹の不安を覚えた。

「ほれ、ラーメン2つお待ち!」

バギーは2人の前にラーメンを置く。

「お嬢さん、辛いのは好きかい?」

バギーが○○に聞く。

「え?はい!大好きです」

「よし、これ辛し高菜。旨いぜ」

「ありがとうございます!」

「良いって事よ」

バギーはニヤリと笑った。

「バギー。俺は?」

「テメェはそこのラー油でも入れてろ!!!」

シャンクスは口を尖らす。

「ほれ、餃子もあがったぜ」

バギーは餃子も置いた。




「しかし、テメェが結婚とはな」

「お前だって綺麗な嫁さんいるじゃねーか」

「あァ、まぁな」

「バギー。茶」

「うるせェよ!!!ほれ!!!」

「さんきゅ」

(……仲良しさんだ)

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