07
○○は着替えを済ませると、まずはキッチンに向かった。
「あ、バナナ」
○○は完熟したバナナを見付けた。
「美味しい」
皮を剥いて口に入れると甘い香りが口一杯に広がった。
「さて、と」
昨日のペットボトルの水で口の中を湿らす。
○○はまずはキッチンを探索する。
「えーっと、台所用洗剤はあるのね。油汚れ系は……ない、か。スポンジはある」
○○は洗面所に行く。
「洗濯用洗剤はある。……漂白剤と柔軟剤は……ないか。うわ、色物と真っ白なYシャツが一緒に……」
○○は洗濯機の中の洗濯物を一度全部出し、タオルや下着などの色が薄い物を入れてスタートボタンを押す。
「よしよし、…………お風呂場も……。あ!良かった使ってないゴム手袋!」
○○一瞬迷ったが、未使用のそれを袋から出して手にはめた。
「お、大きい。けど、無いよりましかな?」
ゴム手袋をしてキッチンに戻る。
まずは食器を乾かす場所を綺麗に確保してから、溜まった食器を洗い始める。
「うーん、お湯使わせて貰おう」
お風呂場の給湯器の電源を入れ、お湯を出す。
すぐに洗わず放置していた皿の汚れは頑固だ。
蛇口からお湯が出始めると、汚れは落ちやすくなった。
○○は一心不乱にシンクに溜まった食器と格闘していた。
「そうか。結婚な」
ベックマンは紫煙を吐き出した。
「おう。まァ、今は好きな女もいないしな。何よりセンゴクに恩を売れるのは良い」
昼食のピラフを口に入れながら答える。
「それは強味になるが。良いのか?」
「何がだ?」
「いくら2年とは言え結婚したんだろ?別けれるとしても離婚だ。と言う事は戸籍に傷が付くんだぞ?」
ベックマンの言葉をピラフを噛みながら考える。
「そうか。俺は男だし良いが、あっちは大変だな。まだ若そうなのに」
シャンクスは真剣な顔で声を出す。
「………………まァ、そうだな」
あんたの事だとは言わずに煙草を吹かす。
「まァ、結婚しちまったモンは仕方ねーよな」
シャンクスはにかりと笑った。
「面倒事を背負込むのが好きだな」
ベックマンは苦笑いをした。
「はは、そんな事は無いはず何だがな」
シャンクスも苦笑いをする。
「まァ、適当にやってくれ。何かあったら手を貸す」
ベックマンは言うと珈琲に口をつける。
「あァ、頼りにしてるぜ、相棒」
シャンクスはニヤリと笑った。
ゴシゴシと風呂を洗っている時にインターホンが鳴った。
びくりと体を震わせて動きを止める○○。
もう一度インターホンが鳴る。
○○は恐る恐るディスプレイ付きのドアフォンに近付く。
マンションはオートロックなので、エントランスからは許可がないと入れない。
画面上には見知らぬ中年の女性が写し出されていた。
元夫でない事に心の底からホッとしたが、出た方が良いのか迷う。
すると、「パワーストーンに興味はありませんか?」などとインターホンに向けて言葉を発していた。
「お客さんじゃない」
○○はホッとして来客を無視した。
部屋を見渡すと、ほぼ、掃除は終わり。
ごみ袋はきっちり分別をして4袋にもなった。
その全てがパンパン。
「お風呂場が終わったら細かい所かな?」
○○は再び風呂場へと向かった。
ドアフォンの画面はすでに暗くなって何も写してはいなかった。
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