03
「あんたなんて知らない!!!」
それはとても些細な事だった。
良くある喧嘩のひとつ。だが、ナミは憂を睨み付けて学校を飛び出した。
「おーい、□□!」
誰もいなくなった放課後の教室で日誌を書いていたらシャンクスが入ってきた。
「日誌まだ…………どうした?」
憂が泣いているのを見るとシャンクスが近付いた。
「……な、なんでも」
憂は泣きながら首を左右に振った。
「…………そうか」
シャンクスは言いながら憂の座る前の席の椅子を引いて横向きに腰を下ろした。
「すみません。すぐ、終わらせます」
憂は制服の袖で乱暴に目元を拭った。
「擦るな。痛くなるぞ」
シャンクスが苦笑した。
「…………先生」
「ん?」
「わ、私どうしたら良いですか?」
消え入りそうな声を出した。
「どうした?」
「ナミと喧嘩しちゃって、…………」
ぐすっと鼻をすする音が教室に響いた。
「…………□□はどうしたい?」
「え?」
シャンクスは真剣な顔で憂を見た。
「□□はあいつとこのまま別れて良いのか?」
「…………」
「もう、嫌いになったか?」
「…………」
「一緒に遊んだり、喋ったり、飯食ったりしなくて」
「やです」
「ん?」
シャンクスは真剣な顔で聞き返す。
「嫌です!ナミとこれから一緒にいられないなんて!遊べないなんて、嫌です!!」
憂はうつ向いた顔を上げて、シャンクスの顔を見て言った。
「そうか!なら、話は簡単だ。謝って来い。それが嫌なら話し合って来い!」
シャンクスはにかりと笑った。
「やるべき事が解ってるなら簡単だろ?□□の気持ちを素直にぶつければ良いんだ」
シャンクスの大きな手が憂の頭を撫でた。
「わ、私!今から行ってきます!」
憂はガタンッと立ち上がる。
「おう!行って来い!!」
シャンクスに背中を押され、憂は教室を飛び出した。
「あ、日誌…………。まっ、いっか!」
シャンクスは日誌を手に取り笑った。
そのままナミの家に行き、頭を下げた。
ナミもナミで姉のノジコに諭されていて、2人は無事に仲直りをした。
「あ!シャンクス先生!!」
憂は赤い髪を見付けて走り出した。
「おい、大声出すなよ、二日酔いなんだ」
シャンクスは頭を押さえた。
少し酒臭かった。
「先生!ありがとうございます!先生に勇気もらえてナミと仲直り出来ました!」
憂は晴れやかな顔で笑った。
「お、そうか!良かったな!」
シャンクスはにかりと笑うと憂の頭に手を伸ばした。
「っ!!」
シャンクスの手が触れた瞬間、憂の体がびくりと震え、顔が真っ赤になった。
「う、いや、あ!失礼します!」
憂はそんな自分に驚いてその場を走り去った。
「…………あー、」
シャンクスはやれやれと頭をかいた。
「…………うぅ、心臓がドキドキする。………え?も、もしかして私?」
赤くなる顔を押さえて憂はその場に踞った。
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