02

席につくと「ちょっと待ってて」と言い、青雉はでんでんむしを取り出して何やら喋った。

座っても圧倒的存在感の青雉を○○は不思議そうに眺めた。

(大きい……。私の倍はある。人間?人間なのかな?)

○○は恐がりながらもジロジロと青雉を観察した。
それでも怖かったので、隣にいるシャンクスとはぴったりとくっ付いていた。

「そう言や自己紹介がまだだったね、俺はクザン。宜しくね」

青雉はそう言って大きな手をにゅっと差し出して来た。

「あ、○○です」

○○がその手を取ろうとしてシャンクスに止められた。

「何で止めるのよ」

青雉は特に気にした様な感じを見せずに言う。

「俺達海賊に取っちゃお前さんの海軍大将って地位は頂けねェよ」

シャンクスは○○を自分の方へ抱き寄せた。

「あ、そう」

青雉は興味無さそうに頷いた。

「……海軍大将?え?大将?大将って言ったら……物凄く上じゃ」

○○は恐る恐るシャンクスを見て、青雉を見上げた。

「あァ、物凄く上だ」

シャンクスは運ばれて来た酒に手を伸ばした。

「いや、今日はもう面倒だからね。それにいくら一人でも四皇捕まえるならそれなりに準備もいるからね」

青雉は実に面倒臭そうに言う。

「…………そう、ですか」

○○は冷や汗を滴ながら頷いた。





「クザン大将お呼びですか?!」

敬礼をしながら男がやって来た。

「あァ来たか。ほら、あの……何だっけ?」

青雉は面倒臭そうにシャンクスと○○を指差した。

「……な、何ですか?この人……」

○○は思わず青雉を見て呟いた。

「□□さ、お前さん俺見て何つったっけ?」

青雉は男ーー□□に聞いた。

「え?あ、ハッ!『松田優作』であります!」

□□はハキハキと答える。

「そんなに似てるのか?」

シャンクスが○○に聞く。

「うん。もう亡くなってる俳優さんだから私も良く知らないけど、凄く似てる。有名な人だったからね」

○○がシャンクスに答える。

「え?な、なんで?」

□□が○○を驚いて見た。

「も、もしかして貴女も流されて来たんですか?」

□□は思わず叫んだ。

「は、はい。前に」

○○は頷いた。

「僕もなんです!急に水の壁が出来て、近くの木に掴まったらそのまま……!!!」

□□は鼻息荒く捲し立てる。

「そ、そう」

○○は勢いに押されながら頷いた。

「大将が必ず元の世界に帰る方法があると!」

□□は笑った。

「……」

「そ、そう」

○○は頷いた。

「帰りたいでしょ?いや!僕達は帰るべきだ!僕達はこの世界では異端児だ。きっと綻びが出来る」

「綻び?」

□□の言葉に○○は不思議そうに聞き返す。

「そう。僕達がここにいるせいで出会うべきでない人間同士が出会っている。それがすでに綻びだ」

□□は語り出す。

「ふーん」

○○はため息混じりに頷いた。

「さて」

シャンクスが立ち上がる。

「俺はそろそろ船に帰る」

「なら、私も」

○○が立ち上がるとシャンクスは笑顔で止めた。

「良いんだ。夜には出航する。それまでに考えな」

シャンクスはそれだけ言うと一人帰って行った。

「……シャンクス」

○○は不思議そうにシャンクスの出て行った方を見た。

「なるほど、あの人は貴女の為を思ったんだね!」

□□は頷いた。

「僕らで元の世界へ帰る方法を探そう!」

□□は手を差し出した。

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