01
「ここは人のいる島なの?」
○○はどんどんと大きくなる島を見る。
「あァ、結構栄えた島だ。補給に寄るだけだけどな、治安も良いが……」
そこでシャンクスは黙り込んだ。
「?どうしたの?」
○○は不思議そうにシャンクスを見上げた。
「治安が良いのは海軍の駐屯地があるからだ。俺達海賊には暮らしにくいだろうな」
シャンクスはにかりと笑った。
「そうなんだ」
「あァ、だから俺から離れるなよ」
シャンクスは○○を見た。
「…………ん?シャンクスと一緒にいる方が危ないんじゃない?赤髪海賊団の大頭?」
○○はくすりと笑った。
「あ?…………まァ、そうか?」
シャンクスはうーんと考え込む。
「考えてないで指示を頼む。アンタの女ならアンタがしっかり守ってやれ」
ベックマンがシャンクスに指示を仰ぐ。
「そうだな。○○ちょっと待ってろ」
「はーい」
シャンクスは○○の頭を叩くとクルーの集まる甲板へと行った。
「夜には出航する。ログが溜まる前にな」
シャンクスは隣を歩く○○を見る。
「うん。それまでに船に戻れば良いのね?」
○○は頷いた。
「あァ、俺はその前には帰ってねェといけないからな」
「じゃあ、私もシャンクスと一緒に行くよ」
○○はシャンクスの腕に自分の腕を絡ませた。
「そうか」
シャンクスは静かに笑った。
必要な物を買い、昼食を取りに2人は酒場に向かった。
「……………………」
シャンクスは店先で止まった。
「ん?どうしたの?シャンクス」
○○は珍しく戸惑っているシャンクスを不思議そうに見上げた。
「いや…………店変えるか」
シャンクスは頭をかいた。
「?自転車?自転車があるとまずいの?」
○○はシャンクスが凝視していた自転車を見た。
「いや、俺は良いんだけどよ。お前の存在を知られるのはなァ」
シャンクスは考えながら踵を返す。
「あららら、赤髪さんじゃないの。こんな所で何してんの?」
店から出てきた男に軽い感じで声をかけられた。
「へ?あ!ま、松田優作!!!」
○○は思わず叫んだ。
「ん?お嬢ちゃん可愛いね、今夜どう?」
長い体を折り曲げて男の顔は○○の顔を覗き込む様に近付いた。
「え……と、夜は先約があるから無理です」
○○は慌ててシャンクスのマントに隠れる様に男と距離を置いた。
「それは残念」
男は上体を起こした。
「こんな所で何やってんだよ、青雉」
シャンクスは少し呆れ気味青雉を見上げた。
「ん?ちょっと一杯」
手でお猪口を持つ仕草をしながら言う。
「あっそ」
シャンクスは興味無さそうに呟いた。
「じゃあ、行くぞ」
シャンクスは○○の肩を抱くとくるりと踵を返した。
「おっとと、待ちなさいよ」
青雉はシャンクスを呼び止める。
「なんだ?」
シャンクスは少し不機嫌そうに振り返る。
「俺の部下に開口一番にお嬢ちゃんと同じ事を言った奴がいるんだけど、興味ない?」
青雉はニヤリと笑った。
「…………」
シャンクスは眉間にシワを寄せてから○○を見た。
「…………あ!そう言う……え?まさか?」
○○は青雉の言葉の意味が分かると慌てた。
「……どうする?興味あるなら話だけでも聞くか?」
シャンクスは仕方無く○○に聞く。
「…………気には、なる」
○○は戸惑いながら頷いた。
「はぁ、仕方ない。青雉少し付き合ってやる」
シャンクスはため息混じりに青雉を見上げた。
「そう来ると思ったよ」
青雉は店の中へと手招きをした。
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