愛と嫉妬と休息と


「あ……」

エリカは書庫から持ち出したたくさんの本を持ってパラソルの下へと向かって歩いていた。

船内の廊下の先に見た事のある頭を見付けて思わず声を出してしまった。

「…………何か用っすか」

ロックスターは振り返りエリカを見た。

「あ、ううん、何でもないです」

エリカは思わずロックスターの怖い顔に顔を引き吊らせて左右に振った。

「……」

ロックスターは無言でエリカに近付いた。

「な、何ですか?」

エリカはギョッとしながら片足を退いた。

「ん」

「え?」

突然差し出して来たロックスターの手を不思議そうに見た。

「それ」

ロックスターが指をさす方を見るとエリカの手にあるたくさんの本だ。

「あ」

「パラソルだろ?行くぞ」

ロックスターが本を奪い取る。

「あ、ありがとう!」

エリカは驚きながらロックスターを見上げた。






「ねぇ、9000万ベリーなんでしょ?」

エリカは意を決して話しかける。
クルー達と仲良くなるのも必要な事だと思ったのだ。

「……9400万ベリーだ」

ロックスターが正した。

「そうなんだ。一体何をしたの?」

エリカの質問に立ち止まる。

「そりゃ、色々さ」

ロックスターはニヤリと笑った。

「そ、そうですか」

やはりエリカはその顔に怯えた。







「ほら」

ロックスターはパラソルの下の机に本をどさりと置いた。

「あ、ありがとう!」

エリカはにこりと笑った。

「こんくらい訳ないさ。アンタはお頭の女なんだからこれくらい頼めば良いだろ」

ロックスターはぽんぽんと本を叩いた。

「……そんな、悪いし」

しかし、エリカは考える。

「そっか、その、また宜しくね?」

エリカはにこりと笑った。

「あァ、じゃあな」

ロックスターは片手を挙げて去って行った。






それからエリカはロックスターや他の新人や若いクルーに積極的に話しかけた。

大頭であるシャンクスの女としてクルーと仲良くなるのも大切だと思ったのだ。








「……なァエリカ」

夜、シャンクスはベッドに座って酒を飲んでいた。

「ん?何?おつまみ?」

取ってくる!とドアノブに手をかける。

「いや、違ェ」

シャンクスは来い来いと手招きした。

「うん?」

不思議に思いながらベッドに近付いた。

「ッキャッ!」

突然手を引かれベッドに組敷かれた。

「え?どうしたの?」

「何が?」

「いや、ムードとかその、突然」

エリカは冷や汗を滴ながらシャンクスを見上げる。

「何かさ、お前最近どうした?」

シャンクスの少し冷たい様な目が突き刺さる。

「へ?どうしたって、何が?」

エリカは訳が解らないともがく。

「だってよ、クルーと仲良くないか?特にロックスター」

「え?そ、そりゃ仲良いよ。同じ赤髪海賊団のクルーだし」

「俺より?」

「……」

シャンクスが何を言いたいか少し理解した。しかし、

「ま、まさかと思うけど嫉妬?」

エリカは驚いた。

「……俺は確かに年取ったからな。やっぱり同じ年頃の野郎が良いか?」

シャンクスは真剣に言葉を紡ぐ。

「……………………ぷぷっ!!」

エリカは思わず吹き出した。

「……」

「あはは!シャンクスが嫉妬?」

エリカは楽しそうに笑った。

「俺が嫉妬したら可笑しいか?」

「ちょっ!」

シャンクスはエリカの服を乱暴に脱がせる。

「この肌も、この唇も、この胸も腹も背中もうなじもケツも足も腕も全て俺のモンだろ」

シャンクスは言いながらエリカの鎖骨に唇を寄せた。

「えっ、っん!」

シャンクスから初めて与えられるその感覚に体がぶるりと震え、下っ腹が疼く。

「なァ、俺が嫉妬したら可笑しいか?」

シャンクスは言いながらエリカに痕を残して行く。
シャンクスがエリカに痕を残すのは初めての事だった。

「っつ!い、たいよ、シャン、クス」

エリカは必死にシャンクスを引き剥がそうと赤い髪を握る。

「ったく、今までお前の肌が汚れるからしなかったが、仕方ねェな」

シャンクスは息荒く次々と痕をつけていく。

鎖骨、胸元、首、腕、肩、腹、足の付け根から太もも。

「っやぁ!」

エリカは押し寄せる快感から必死に逃げようとシャンクスを蹴るが、その力はあまりにも弱々しかった。

「っ逃げるなよ、なァ」

シャンクスはニヤリと笑うとエリカに覆い被さる。

「逃げねェでさ、早く俺に溺れちまえ」

シャンクスは獲物を狙う鋭い目付きでエリカを見た。









「お頭」

「ん?どうした?」

ロックスターがシャンクスに話しかける。

「エリカの姿が見えないんすけど、頼まれてた本どうしたら良いすか?」

ロックスターが他のクルーから預かったと言う本を掲げた。

「あァ、あいつとーぶん部屋から出られねェから俺が預かってやる」

機嫌良くシャンクスがロックスターから本を預かった。

「なァ」

「はい?」





「あいつは俺の女だからな」





覇気を漏らしながらシャンクスはロックスターにニヤリと笑った。

「…………重々承知してるっす」

ロックスターは背筋を凍らせながらこくこくと頷いた。









愛と嫉妬と休息と








「あ!この前は本ありがとう!」

「お、俺に近付かないでくれ!」

「え?な、なんで?」

「お前の為だ!お前の!」

「よう、2人で何やってんだ?」

「「ひぃー!!」」

「笑顔が怖ェよ、お頭!」

「しゃ!シャンクス!暇ならあっちで遊ぼうよ!えっと2人で!」

「そうか?じゃあな、ロックスター」

「…………四皇怖ェ……」



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -