01
それは本当に偶然の出来事だった。
ある休みの日の昼間の事。
「お?エースじゃねェか!」
そう呼び掛けたのはシャンクスだった。
「おォ!シャンクスか!」
エースはにかりと笑った。
「なんだ!マルコも一緒じゃねェか!こっち来いよ!」
シャンクスが手招きする。
「いやだね!」
そう声を出したのはエースとマルコと一緒に来ていたサッチだった。
「そう言うなよ!混んでるぜ?」
シャンクスが店の中を見回した。
「そうだよ!良いじゃんサッチ!」
エースがサッチを引っ張って席に座らせ、自分もその隣に腰を落とした。
そして、その席はよりによってベックマンの隣の席だった。
サッチは思いきり顔をしかめた。
「まァ、赤髪の奢りなら良いよい」
マルコは笑いながらシャンクスの隣に腰を下ろした。
「あ?マジか?まァ良いか!」
シャンクスは驚いてから笑った。
「よし!なら赤髪潰してやるよ!すみません!生ァ!!」
サッチが言ってすぐに注文をする。
店員の女の子が近付いてきてオーダーを取る。
「俺も!」
エースがついでとばかりに手を挙げる。
「俺も。後焼き鳥盛り合わせと馬刺とてっさと刺身盛り合わせと」
マルコが無遠慮に注文をする。
「あ!俺肉!!唐揚げも!」
エースも注文をした。
「おいおい、そんなに頼んで残すなよ?」
シャンクスが苦笑する。
「「…………」」
無言でエースを指差すマルコとサッチ。
「…………おい、ベック!お前も出せよ!」
シャンクスが冷や汗を滴ながらベックマンを睨む。
「さてな」
ベックマンがニヤリと笑う。
「赤髪潰れろ!そんで△△返せ!」
サッチがベックマンを睨む。
「それは無理だ」
ベックマンが紫煙をサッチに吐きかけた。
「△△?って前にうちにいた奴だよな?」
エースが不思議そうに聞く。
「あァ。サッチの女好きが祟って別れた女だよい」
マルコが来たビールを受け取りながら答える。
「うっわ!マジか?!それは無理だろ、サッチ!」
エースがうわーと言う顔をする。
「そう言うお前だって何年か前までそうだったじゃねェか!来る者拒まず!去る者追わず!」
サッチがエースを睨む。
「直ったのはあれだろ?要に惚れてからだよい」
マルコがシャンクスを見る。
「確かに!お前俺に離婚しろとか言ってたよな!」
シャンクスがケラケラ笑った。
「うるせェ!今は○○がいるから言わねェよ!」
エースは不機嫌そうに叫ぶ。
「○○さんな。元気にしてるかよい?」
マルコがエースに聞く。
「そう言やマルコの教え子だったもんな」
サッチが頷いた。
「元気だぞー!大学で会わねェか?」
エースがビールを飲む。
「俺は一コマしか持ってないからよい」
マルコは煙草に火をつけた。
「そう言やマルコ!□□さんは元気か?要が時々あの時の菓子が美味しかったって言うからさ」
シャンクスがニヤリと笑う。
「……元気にしてるよい」
マルコは小さく頷いた。
「確かにあの時は気の毒だったな」
ベックマンが思い出しながら煙草を吹かした。
「あァあのネズミな」
サッチも頷いた。
「まァあの野郎がどうなったか何て興味ねェよい」
マルコはつまらなそうに言うと刺身を口に入れた。
「唐揚げうめェ!」
エースがパクパクと口に入れた。
「あ?唐揚げってか、外で食っても旨くねェや」
シャンクスが酒を煽る。
「そう言や要って料理旨かったもんな!」
口いっぱいに唐揚げを詰めたエースはシャンクスに聞く。
「あァ!凄く旨いな!!」
シャンクスがにかりと笑った。
「でも、□□も旨いよな?」
エースはマルコを見る。
「あァ。スゲェ旨いよい」
マルコはビールを煽った。
「良いなァ。飯旨いのは良いよな!」
エースがぐびりとビールで口の中の物を流し込む。
「なんだ?○○ちゃんはダメなのか?」
サッチが身を乗り出す。
「いや、まァお互い実家暮らしの大学生だからな。料理慣れしてない感じだな」
エースが手羽先に手を出す。
「良ねェ!初々しいなァ!それなら△△は残念だな」
サッチがベックマンを睨み付ける。
「……まァな。だが、卵焼きは旨いぞ」
ベックマンがニヤリとサッチを見る。
「?!△△が料理?あの俺のキッチンを焼け野原にした△△が?」
サッチは顔が青ざめた。
「だっはっはっ!!△△さんスゲェな!」
シャンクスが大笑いをした。
「「△△を笑うんじゃねェ」!!」
ベックマンとサッチが同時に口を開き、低い声を出した。
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