03
ひとしきり遊び、お昼の時間となった。
外のテーブル席を3人で囲んだ。
初めはHANAが預かったお金から出そうとしたが「足りねェから自分で出す」とエースは断った。
なので、○○の分だけ買うと2人はそれぞれ払った。
メニューはハンバーガーだった。
「はんばーがーおいしいねー」
○○には大き過ぎるそれを嬉しそうに頬張った。
「おら、ケチャップついてるぞ」
それを甲斐甲斐しく世話するエース。
「……」
それをこっそり携帯カメラの動画で撮影するHANA。
「ぽてとー」
「あァーもー!こぼすな!」
「あはははは!」
堪らず笑い出すHANA。
「なんだよ」
エースは不機嫌そうにHANAを見た。
「ううん!エースって子ども出来たら子煩悩になりそうだなぁって」
HANAは嬉しそうに笑った。
「……子煩悩……か?」
エースは○○の口をティッシュで拭いた。
「エースって良いお父さんになりそう!」
HANAがカメラのシャッターを押した。
「ね?○○!エースは良いお父さんになりそうよね?」
「?うん!」
○○は意味がわからなそうにしたが、誉め言葉と思った様で元気良く頷いた。
「……」
エースは少し考えてからHANAの首に手をかけ引き寄せた。
「なら、たくさん作ろうな?」
ニヤリと低い声で言われればHANAの顔だけに留まらず首まで真っ赤になった。
「う…………うん」
HANAは赤い顔のまま微かに頷いた。
「よし!これ食ったら次はキリンだな」
エースは真っ赤な顔のHANAを見て満足そうに言った。
たっぷり遊んび、いつの間にか夕方になっていた。
「重いな」
エースは穏やかに笑いながら背負った○○を背負い直しながら言った。
動物園ではしゃぎ疲れたのか、帰りのバスの中で○○はエ眠ってしまったのだ。
それで今はエースに背負われていた。
「ふふ、幸せそうに寝てるよ」
HANAはシャッターを押した。
「今日は写真撮りまくりだな」
エースは苦笑いをした。
「ん?うん。従兄弟がね子煩悩でね。『写真いっぱい撮ってきて!』って」
HANAはクスクスと笑った。
「そうか」
「うん!ちゃんとコピーするから安心して!」
「安心?」
エースは不思議そうにHANAを見る。
「エース○○の事気に入ったでしょ?妬けちゃう」
HANAはわざと不機嫌そうに言った。
「そんな訳……」
「着いた!」
エースの言葉を遮ってHANAは○○の家のチャイムを押した。
ーーピンポーン
『はーい』
「HANAです」
『あ、待ってて!』
少し待ってると玄関から夫婦が出てきた。
「HANAちゃんありがとうね!」
従兄弟がにこりと笑った。
「いえ!楽しかったです!」
HANAはにこりと笑った。
「どう?家族が出来た時の予行練習になった?」
従兄弟はニヤリと笑いながらエースとHANAを見た。
「え?」
「はい」
戸惑うHANAに対してエースが頷いた。
「そっか!良かった!○○寝ちゃったのね?」
従兄弟の奥さんがエースに背負われた○○を抱き上げる。
「んー、えーすー」
○○はむにゃむにゃと寝言を言う。
「あらあら、この子ったら!」
従兄弟の奥さんがにこりと笑った。
「○○ー、父ちゃんは悲しいぞ!」
従兄弟が泣き真似をする。
「じゃあ、私達はこれで」
HANAが頭を下げ、軍資金の入った財布とカードを取り出し渡した。
「あら、お茶でも飲んで行けば良いのに」
従兄弟の奥さんが残念そうに言う。
「君も不粋だな。恋人達の時間をこれ以上邪魔してどうするんだい?」
従兄弟はニヤリと笑った。
「それもそうね!HANAちゃん!エースくん!良かったらまた○○と遊んであげてね」
従兄弟の奥さんがにこりと笑った。
「はい!」
「こちらこそ」
HANAは嬉しそうに笑い、エースは丁寧に頭を下げた。
「珍しいな」
エースはHANAを見た。
「え?何が?」
HANAは不思議そうにエースを見上げた。
「○○と離れがたいとか、お茶飲むとか言うと思った」
2人は暗い道を並んで歩く。
「…………だって」
「だって?」
エースは先を促す。
「早くエースと2人になりたかったから……」
消え入りそうな声でHANAが口を開いた。
「エースってばずっと○○ばかりたったから。その、ちょっと寂しくて……」
HANAは顔を赤くしながらぽつりと呟いた。
「…………」
「え?えー」
エースは驚くHANAに口付けた。
触れるだけの優しいキスではなく、舌を絡める深くて激しいものだった。
「HANAが悪ィ。……俺だって我慢してたんだぜ?」
エースがニヤリと笑った。
「送るのは後回しだ。良いな?」
エースの意図を理解したHANAは小さく頷いた。
「や、優しくしてね?」
HANAは困った様に笑った。
「それは無理だ」
エースはきっぱりと言い切った。
「え、エースさん」
「ん?」
「そ、そろそろ離してくれないかな?」
「なんで?」
「な、なんでって、終電……」
「ダメだ。離せねェよ」
「ダメ!ダメダメ!離して!!」
「却下だ」
「えぇ?!」
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