02

動物園に着くと○○は目を輝かせた。

「わー!」

「待ってて!チケット買うから!」

HANAは○○に声をかける。

「俺買ってくるか?」

○○がフラフラするのを追いかけるHANAにエースが提案した。

「あ、良い?軍資金貰ってるから。後、これも!」

そう言って渡されたのは財布と何やらカード。

「なんだ?これ」

エースは不思議そうにカードを見る。

「何かね、この辺りの施設で使える割引カードなんだって!子どもがいると使えるの!」

HANAは遠ざかる○○を気にしながら大きな声を出した。

「ふーん。わかった」

エースはカードと財布を持ってチケット売り場へ行く。

「チケットは小学生からか。大人2人」

エースがそう言いながらカードを見せる。

「カードご提示ありがとうございます!お子さまはお一人ですか?」

売り場係りの女性が笑顔で聞く。

「あァ。あそこにいるの一人」

エースは体を避けて係りの女性に指差した。

「かしこまりました!では、大人2人様、カードご利用で1600円でございます」

お、安くなった。と思いながらエースは財布から金を払った。

「では、こちらがチケットでございます。楽しんでくださいね」

「あァ」

チケットを受け取るとエースはHANA達の方へと向かった。

「若くてイケメンパパ!羨ましい!」

売り場の女性がエースの後ろ姿を笑顔で見た。








「買ってきたぞー」

エースがチケットを掲げて2人に近付いた。

「ありがとう!エース!じゃあ、入ろっか!」

「うん!」

HANAは○○の手を取って入り口へと向かった。

「…………なんか、取られた感じだな」

エースは○○に嫉妬している自分に苦笑しながら2人の後を追った。









「おっき!ぞうー!」

○○は飽きる事なく目をキラキラとさせながら象の前から動かないでいた。

「よく飽きねェで同じ動物見てられるよな」

エースが呆れながら○○を見た。

「うん。でも、私も少し気持ち解るな」

HANAはにこりと笑った。

「HANAもお気に入りの動物がいるのか?」

エースはニヤリと子どもだなと笑った。

「う、うん!エースならいつまで見てても飽きないよ」

HANAは照れながらもエースににこりと笑った。

「っ!!あー……」

エースは不意打ちに顔を赤くしながら唸る。

「……俺もだ」

エースは優しく笑うとHANAを引き寄せ唇を寄せた。

「ねーねー!」

「っ!!」

「痛ェ!!!」

突然○○に呼び掛けられ、HANAは思いきりエースを突き飛ばした。

「ご、ごめんね、エース!」

HANAはエースを心配そうに見る。

「えーすにいちゃんだいじょぶ?」

○○が心配そうにエースを覗き込む。

「あァ、大丈夫だ」

エースは押された箇所を擦りながら頷いた。

「あのね!えさあげたい!」

○○はそう言った。

「えさ?象の餌やりは……あ、もうすぐやるみたい。あそこに並ぶのかな?」

すでに何人かの親子が象の餌やりで列を作っていた。
どうやら時間指定、人数指定で餌やり体験が出来るようだ。

「よし!じゃあ、並ぼうか?」

HANAは○○を連れて赤い顔のまま列に並んだ。

「エースもおいでよ!」

「おいでよー」

HANAと○○がエースを嬉しそうに呼んだ。

「おー」

お楽しみに邪魔されたエースは少し不機嫌ながらも、2人に近付いた。

○○がキラキラとした目で待っているとすぐに順番が来た。

「お待たせしました!じゃあ、パパさんはお子さんを抱っこしてみましょうか!」

係員がにこりとエースに話しかけた。

「ぱ、パパ?」

エースはぎょっとして係員を見た。

「ぷぷ!エースパパ!○○を抱っこ!抱っこ!」

HANAは笑いながら楽しそうに○○をエースに差し出す。

「……ほらよ」

エースは戸惑いながらも○○を抱き上げる。

○○はキャッキャと笑いながら象に餌をやろうとしている。

「ふふ、エースって子ども似合うね」

HANAが嬉しそうに笑った。

「……そうか?ほら!○○!!」

エースは照れながらも○○を抱っこから肩車にする。

「わー!たかーい!」

○○はご満悦の様で象に餌をやった。

キャッキャとはしゃぐ声にエース自身も楽しそうに笑っていた。








それを見たHANAも穏やかな笑顔で2人を見てカメラのシャッターを押した。

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