01

それはある春休みの事。

「えー!エース出掛けるのか?」

玄関で靴を履いていたエースにルフィが声をかける。

「オゥ」

エースは靴紐を結びながら言う。

「またデートってやつか?HANAとだろ?」

「あァ、まァな」

「じゃあ、俺も行く!」

「邪魔するな!」

立ち上がるとエースはルフィにでこぴんをした。

「痛ェ!!」

ルフィは少し赤くなったおでこを押さえた。


ーーピロロロ


出掛けようとヘルメットを手に持つと携帯が鳴った。
相手によっては無視をしようとしたが、それはデート相手のHANAだった。

「オゥ、どうした?」

エースは携帯を耳に当てた。

『あ!おはようエース!あのね、その』

慌てているが言い淀む。そんな声を電話越しにHANAが出した。

「どうした?ダメになったか?」

エースが少し不機嫌そうな声を出す。

『ううん!まさか!そうじゃないんだけど……』

HANAの戸惑った声を心配しながらも、エースは予定が無くなった訳ではないとホッとする。

「なんだよ。はっきり言え」

『いや、その……あ!エース!バイクで来ないで!あ!今から出るから!後でね!!』

「あ!おい!……切れた」

エースは何なんだ?と思いながらもヘルメットを置き、グローブを口で引っ張り外した。

「何だ?エース。デート止めたのか?」

ルフィがキラキラとした目でエースを見る。

「止めるか、ばーか」

エースはニヤリと笑うとバイクに関連する物をルフィに押し付ける。

「俺の部屋に置いとけ」

「えー!」

ルフィが嫌そうに持たされたヘルメットなどを見る。

「まァそう言うな。土産なんか買ってきてやるから」

エースはニヤリと笑った。

「ホントか?わかった!忘れるなよ!」

ルフィが鼻息荒く言う。

「了解、じゃあな!」

エースは玄関の扉を開けた。









待ち合わせの駅に着くが珍しくHANAはまだ来ていなかった。

「バイク使わなくてもあんま時間変わらないんだな」

エースはちらりと腕時計を確認した。

「あ!エース!」

後ろから声がしてエースは振り返る。

「オゥ、HANA……?」

エースは不思議そうにHANAを見る。

「ごめんね!出掛ける間際で急に」

HANAはエースに会えてホッとした様に笑うと息を調えた。

「……それか?」

エースがHANAと手が繋がっているそれを指差す。

「え?うん。そうなの」

HANAはその子の背中を押してエースの前に押し出した。

「○○って言うの。従兄弟の子どもなんだけど、急に面倒見る事になっちゃって」

HANAは困った様に、でも楽しそうにも見えた。

「そっか」

エースはそう言うと○○の前にしゃがみこんだ。

「○○ってんだな?俺はエース。HANAの恋人だ、宜しく」

エースはにかりと笑った。

「えーす」

○○はにこりと笑った。
その笑顔にエースは○○の頭を撫でてから立ち上がる。

「さて、どうするか?」

エースはきょろりと駅を見渡した。

「やっぱり動物園か。ルフィも喜ぶしな」

エースは前にも乗った動物園行きのバスを見た。

「ふふ、基準はルフィくんなんだね」

HANAは楽しそうに笑った。

「まァな、行くぞ!」

エースはHANA達に言うと動物園行きのバスへと向かった。









「どうぶつは、ぞうがすきー!」

○○は嬉しそうに足をパタパタとさせ、バスの窓から外を見た。

「ごめんね、エース」

HANAがエースを見上げた。

「ん?なにが?」

エースはHANAに視線を合わせた。

「○○の事」

HANAは申し訳なさそう小さな声を出した。

「いや、別にガキはルフィで慣れてるからな。特に問題はねェな」

「……!ありがとう!」

エースの何でもないと言う顔にHANAは嬉しそうに笑った。

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