02

「ゲームセンター久し振り!」

扇維は楽しそうに目を輝かせる。

「ここがこの辺りじゃデカイ方だよな」

キッドが言う。

「お!ベポだ」

ローがクレーンゲームを見る。

「あ!本当だ!可愛い!」

扇維もローの後に付いて行き、クレーンゲームの中にいるベポを見た。

「本日全台一回100円だとよ」

エースが張り紙を見ながら読み上げた。

「欲しいのか?」

キッドがガラスに張り付いてベポを見ている扇維に聞く。

「え?でも、こう言うのって取れないんでしょ?」

扇維がキッドを見上げる。

「は?取れるだろ」

エースが不思議そうに言う。

「え?そうなの?!私こう言うの取れた試しがないよ」

扇維はエースを見上げて驚く様に言う。

「あー、下手そうだよな」

ローがニヤリと笑う。

「うー……なら、取ってよ!」

扇維が悔しそうにローを見上げる。

「任せろ」

ローが財布を出し、正面に回り100円を入れる。

機械から軽快な音楽が聞こえて来た。
ローがボタンを押し、アームを操る。

ベポの真上にアームが行く。

「あっ!あっ!あ!」

扇維の声にローが3個目の下に向かうボタンを押してしまう。

「あー……」

扇維は残念そうに声を出す。

「お前も案外普通の男なのな」

キッドがニヤリとローに笑った。

「…………うるせェ」

ローが忌々しげにキッドを睨み付けた。

「次は俺やる!」

エースはローを押し退けながら100円を機械に入れる。

「エース君!頑張って!」

「任せなって!」

エースはニヤリと笑った。

アームを動かし、ベポの側まで動かす。

「あー……」

扇維が残念そうに声を出す。

「いやいや、こう言うデッカイ奴は何回かやらねェとな!」

エースの言う通り、ベポはアームによって、ちょっとずつちょっとずつ出口へと動いた。



ーーしかし



「くそー!穴の壁が邪魔でずれ落ちねェ!!」

エースはそう叫んだ。

「うーん。やっぱりダメなんだね」

扇維は寂しそうに言う。

「ほらよ」

「っ!!ベポ!!」

目の前に差し出されたのは大きなベポのぬいぐるみ。
とっさに抱き付くとキッドを見上げた。

「え?これどうしたの?」

ベポに抱き付いたままクレーンゲームの中を見るとやはり出口の穴の壁にひっかかるベポ。

「向こうにも同じのがあったから取った」

キッドが奥の方の機械を指をさす。

「凄い!!キッド君凄いよ!!」

扇維は目を輝かせてベポとキッドを見た。

「……お、オゥ」

キッドは若干数顔を赤くして頷いた。

「くそ!俺も取る!」

エースは同じのではつまらないと違う台へ行く。

「扇維、待ってろ」

ローも静かな闘志を抱いて違う台へ行った。

「わ、私もやってみようかな?」

扇維は2人が消えた方を見てからキッドを見上げた。

「なら、あっちに激取れ台があったから、そこから練習しろ」

キッドがそう提案する。

「激取れ台?」

扇維は不思議そうにキッドを見上げる。

「設定が甘くて、アームの力が強かったりする奴だ」

「なるほど!」

キッドの説明に納得する。

「まァ中身はあんまり良くねェけどな」

キッドの言う通り中身は良く見るキャラクターの缶バッチなどであったが、それでも扇維は真剣にやり、初めて取ったウサギの缶バッチを嬉しそうに鞄に付けた。





「凄い!!」

扇維は驚いて3人を見た。

エースとローはそれぞれチョッパー、カルーの大きなぬいぐるみを抱いていた。

「ほら、やるよ!」

エースは扇維にチョッパーを押し付ける。

「え?」

「ほら、これもだ」

ローもカルーのぬいぐるみを扇維に抱かせた。

「え?え?!凄い!!本当に取れる物なんだね!!」

扇維は興奮気味にぬいぐるみを抱いていた。

「おー、ぬいぐるみに囲まれたな。ほら、こっち向け」

キッドが携帯をカメラモードにする。

「え?」

「記念だ。笑え」

「うん!」


ーーパシャ


「よし」

キッドは満足そうにそれを保存した。

「あー!抜け駆け!」

エースが叫ぶ。

「扇維、こっちにも向け」

ローが空かさず扇維の笑顔を写真におさめる。

「扇維こっち!」

エースも何とか扇維の顔を撮った。

「ねぇねぇ!それならあれやろうよ!」

扇維が嬉しそうにプリクラを指差す。

「お!良いな!」

エースは嬉々として頷いた。

「……まァ良いだろう」

ローも少し面倒そうに頷いた。

「……」

キッドも無言ながら頷いた。



「待て!扇維の隣は俺!」

「うるせェ!」

「邪魔だ黙れ」

「け、喧嘩は良くない!ほら!撮るよ!」


ーーカシャ


「うん!カッコイイ!」

扇維は出来上がったプリクラに大満足だった。











そんな君と放課後を










「しかし、デカイぬいぐるみ3つもあると邪魔だな」

「そんな事ないよ!」

「どこに置く気だ?」

「うーん。やっぱりベッドかな?」

「っ!い、一緒に寝るの、か?」

「うん!皆手触り良いし!!」

(((許すまじ!ぬいぐるみ!!)))

「今日はありがとう!!」

「「「お、オゥ」」」

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