06

温泉を満喫した○○は着替えると休憩所へと向かう。


そこには美女に囲まれたシャンクスがいた。


休日で温泉に入りに来たらしい美女達は妖艶な笑みを浮かべシャンクスを奪い合っている。


「………………シャンクス?」

○○は苛立つ心を否定して、呆れながらシャンクスを見下ろした。

「お!○○!!」

シャンクスは美女達を振り払うと笑いながら立ち上がった。

「……何やってるの?」

○○はためいきをつきながらシャンクスを見る。

「あ?酒奢ってもらった」

シャンクスはビール片手に言う。
しかし、美女達を振り返りもしないので、美女達は不満そうに○○を睨み付ける。

(私を睨むな)

○○はイライラとした。

「じゃあ、シャンクスは綺麗なお姉様に囲まれてお酒でも飲んでたら?私はお邪魔の様だから帰る。近いから大丈夫よね?」

○○はそれだけ言うとくるりと踵を返した。

(結局は男なんて皆同じなのね)

○○はイライラとしながら歩く。

(って、シャンクスの事は保護しただけだから、誰と何をしようと勝手なのに)

○○は思わず泣きそうになる。

「危なっ!!」

「っ!!」

突然シャンクスの声がして凄い勢いで引っ張られる。

トラックが来ている事に気付かずに道を渡る所だったのだ。

「あり」

「馬鹿野郎!死にたいのか?!」

シャンクスは鋭い目付きで怒鳴る。

「ご、ごめっ」

今までに見た事のないキツい目付きに○○は恐怖に震える。

「いや、無事なら。すまん、怖がらせるつもりは無かった」

シャンクスが手を伸ばすとびくりと○○の体が震えた。
顔もまだ恐怖に歪む。

「……悪かった」

シャンクスは手を引っ込めるとくるりと踵を返した。

「しゃ……」

○○は声を出そうとするが、出ない。

「夜までには帰る」

シャンクスは振り返らずにそう言った。

「………………」

○○は何も言えずシャンクスの背を見送った。







「はぁ……」

○○は大きなため息をついた。


夜の10時過ぎ。

まだシャンクスは帰らず。
彼には彼のやりたい事があるはず。そして、彼とは別になんの関係もない。
ただ、自分の彼氏と重ねてしまった。

○○は猛反省中だった。

「はぁ……。まさか、元の世界に帰っちゃったかしら?……あのままだったら、せっかくの異世界なのに嫌な気持ちのまま帰らせちゃう……」

○○は困った様に声を出した。


ーーガチャッ


「っ!!」

○○は慌てて玄関に行く。

「シャンクス!ごめんね!」

○○はシャンクスの姿を見て声を出す。

「○○!……いや、その、悪かったよ」

シャンクスはバツの悪い顔をする。

「ううん。私、私……」

○○は思わず涙ぐむ。

(私……これじゃあ、シャンクスの事……)

○○は自分の前から姿を消した男より、自分の前から姿を消す男に心惹かれていた。

「○○……」

シャンクスはそっと○○に手を伸ばした。

○○の体に手を触れた瞬間、我慢できずにかき抱いていた。

「なぁ、俺と一緒に来いよ」

シャンクスは静かにそう声を出した。

「…………でも」

○○はシャンクスに抱き付かれ、驚きながら声を出す。

「何だよ、俺じゃ不満か?」

シャンクスは拗ねた様に言う。

その姿があまりにも子供っぽく笑ってしまった。

「ふふ」

「おい、俺は本気だぞ?」

シャンクスは○○の顔を覗き込む。

「ありがとう、シャンクス。でも……」

「まぁ、俺が帰るまでまだあるさ、それまでに決めてくれ」

シャンクスは○○の頭を乱暴に撫でた。

「じゃー、お休み!これ以上触ってたら手ぇ出しそうだ」

シャンクスはニヤリと笑うといつもの部屋に入った。

「っ!!」

○○は顔を赤くした。

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