04
持ち前の適応力の高さでシャンクスは○○の財布から支払いを済ませると、○○を抱えて家まで帰ってきた。
○○には悪いとは思いながらも、○○の部屋に入るとベッドへ寝かす。
そして、そっと頬を撫でた。
昨日初めて会った時は見ず知らずの男を一人暮らしの部屋に入れるとは、やっても良いのかと思ったが、そうでもない。
しかも、俺はどうやら異世界へ飛ばされたらしく、そんな得たいも知れない男を保護したのだ。お人好し以外の何者でもない。
話して行く間に、なかなか性格も良い事に気付いたし、気に入った。
女としてもだけど、それよりも仲間にしたいと言う気持ちが強くなった。
はずだったんだが、
男を見る目が無さそうで、それを知ってからは何だか、仲間よりも女として見ている自分に少し呆れた。
結局は自分は居なくなる人間だ。
彼女が弱っているのに彼女の心に残る必要もない。
そう思いながらも眠る○○の頬を優しく撫で、ずっとその様子を眺めた。
戻れる自信はある。だから、きっと俺は余裕を持っているんだ。
それとも、本気で○○の事が?
馬鹿馬鹿しい。
もし、そうだとしても海賊船などに乗せたらたちまち死んでしまいそうなこの女を拐う事も出来やしない。
「……そうか」
俺は船長として、船長の女として○○を乗せられるなと、割りと本気で思った俺は、もはや重症患者のようだ。
「なぁ、○○。会ったばかりの俺がこんな事言うのはおかしいが、何もかも棄てて俺と一緒に来いよ」
そう言いながら俺は○○の唇に自分の唇を押し付けていた。
「……ん」
小さく漏れる声に背中がぞくりと震える。
もうダメだと、俺は噛みつくように口付ける。
「 ーーー 」
知らない男の名を呟かれ、今度は黒い感情が渦を巻く。
「ちっ」
俺は彼女から離れると、部屋を出た。
無理矢理抱くのもありだが、せっかくやるなら起きている方が良いと思った。
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