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今日も今日とてグランドライン、新世界を行くレッドフォース号。
「あれ?ない」
○○は自室のクローゼットを漁りながら不思議そうに声を出す。
「おかしいな」
○○はキョロキョロと部屋を調べるがお目当ての物は見当たらなかった。
「あ!ヤソップさん!」
「おぅ。どうした?」
自分が通りそうな道を歩いていると、チェイサー・ヤソップと出会う。
「あの、私の帽子知りませんか?」
○○は先程から探している帽子の行方をヤソップに聞く。
「今かぶってるのは?」
ヤソップは不思議そうに小豆色のキャスケット帽を指差す。
「これじゃなくて、白い。私が最初にかぶってた奴です」
「あぁ、鷹の目に貰った奴な」
ヤソップは納得した様に頷いた。
「それなら確かお頭が持ってたぞ」
「シャンクス……が?」
嫌な予感がして、○○はどきりとした。
急いでシャンクスを探す。
「あ!シラパ!」
「あら、○○!あ!待って!近付いたらお頭に怒られちゃう!」
今でも美しい格好をしているシラパを見付ける。
「シャンクスどこ?」
「お頭?お頭なら甲板にいたわよ」
「ありがとう!シラパ!」
○○はシラパに礼を言うと甲板へ急いだ。
「はぁ、はぁ、しゃ、シャンクス!!」
「ん?どうした?○○」
ようやく見付けたシャンクスに息を切らせながら近付いた。
「帽子!」
「ん?」
「私の帽子、知らない?」
はぁ、はぁ、と息を調えながら聞く。
「あ?今かぶってるので良いだろう」
シャンクスは拗ねた様に言う。
「って、事は知ってるのね?どこ?!」
○○はシャンクスの言い方で分かり、問い詰める。
「……要らないだろ?あんな帽子」
「それを決めるのは私!」
○○は自分の胸を叩いた。
「…………棄てた」
「は?」
シャンクスの言葉に○○は言葉をなくす。
「だから、海の上」
シャンクスは親指で海を指す。
「っ!!」
甲板から乗り出して海を見るが、その姿は目に入らなかった。
「ちょっと前だからな。もう沈んだんじゃねェか?」
シャンクスも海を見ながら言う。
「……」
「まァ、これがあるし良いだろう?」
「……」
シャンクスは軽く言う。
○○は黙ったまま海から目を離さない。
「○○?」
シャンクスは○○を見下ろす。
「…………」
○○はくるりと踵を返す。
「お、おい!」
シャンクスは慌てて○○の手を取る。
ーーパシンッ
○○はその手を振り払う。
「…………シャンクスなんて、嫌い」
○○の目はシャンクスがぞくりと思うほど冷たかった。
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