03

「副船長がベン・ベックマンて言うちょっと見た目怖えけど、良い奴だし。狙撃手はヤソップって言う奴さ。こいつは子供と嫁さん残してまで俺と一緒に来てくれてるしよ。それからラッキー・ルーってのが肉ばっか食っててよー」

シャンクスについて聞かせろと言ったら楽しそうに仲間について語りだした。

「それからな、鷹の目つー奴がいてさ」

「鷹の目?それが名前なの?」

○○は不思議そうにシャンクスを見る。

「いや、名前は……じゅら?ジュラキュール?とにかくミホークって奴なんだけどよ?こいつもさー」

シャンクスは楽しそうに笑いながら話しは続いた。



シャンクスの話は仲間の事やら、敵の事、世界の事を冒険談を交えて話すのでとても楽しかった。


「へぇ。何か楽しそうな所だね」

○○はにこりと笑った。

「なら○○も来たら良い!男ばっかだけど気の良い奴等だからな!お前なら大歓迎だ!」

シャンクスは笑いながら言う。

「ふふ、でも私には仕事もあるし、色々と無理ね」

○○は残念そうに笑った。

「そうか?気が変わったらいつでも大歓迎だからな!」

シャンクスはにかりと笑った。



シャンクスの話は昼食を挟みなから夕方まで続いた。


「うーん。夕飯作るの面倒だし、せっかくだから外食しようか?この世界も見たいでしょ?」

○○がそう提案する。

「良いのか?」

シャンクスは嬉しそうな顔をする。

「うん。宴会好きなお頭にとっては食べ放題より飲み放題かしら?」

「っ!!宜しく頼む!!」

シャンクスは素直に笑った。

「っと、その前にその格好は目立つから着替えて」

○○は洋服ダンスを漁る。

「うーんと、これで良いかしら?」

○○は黒いズボンと楽なシャツをシャンクスに渡す。

「……男物だな」

シャンクスは一瞬ムッとした表情を浮かべる。

「うん。彼氏のだけど、もう会ってないし棄てるだけだから嫌じゃなかったら着てて」

○○はうんざりした顔で声を出した。

「……なんだよ。仲悪いのか?」

シャンクスは服と○○を交互に見比べた。

「…………そうね。じゃなかったら追い出してるわね?」

○○は少し寂しそうに笑った。

「まあ、世話になる俺が我が儘言ってもな」

シャンクスは素直に服を脱ぎ、受け取った服を着始める。

「ちょっ!向こうで着替えてよ!」

○○は怒ったように顔を赤くしながらくるりと後ろを向いた。

「なんだよ。男持ちならこんなん慣れてるだろ?それともご無沙汰で照れたのか?」

シャンクスはニヤリと○○に近付いた。

「っ!!」

「痛ぇ!!」

○○の裏拳が決まり、シャンクスはその場でうずくまる。

「セクハラ禁止!!」

○○は顔を真っ赤にしたまま怒って出掛ける用意をし始めた。

シャンクスはうずくまったままニヤリと笑った。






「旨いな!」

シャンクスは上機嫌で酒を飲み進める。

2人は駅近くの居酒屋へと入った。
飲み放題と簡単なつまみを頼む。
2人分払うと少し財布にはキツいが、話を聞く限り飲みそうなので試しに来たのだ。

「いくら飲んでも同じ値段だからね」

○○はそう言いながらジンジャーエールを飲む。

「そう言う○○はノンアルコールだな?」

シャンクスは不思議そうに聞く。

「私がお酒を飲むには医者が必要なの」

○○はクスリと笑った。

「なんだ、弱いのか?」

「うん、少し飲めば満足!」

「そうか、なら、○○の分まで元を取るからな!」

シャンクスはニヤリと笑うと、宣言通りのスピードで飲み続けた。

「でも、あれだな。飯は○○が作った方が旨いな」

シャンクスはニヤリと笑うと酒を飲み干す。

「……そうね、それくらいお世辞言ってもらわなきゃね」

○○は照れながらもクスクスと笑った。

「違う!お世辞じゃない!」

シャンクスは真剣な眼差しで言う。

「っ!あ、ありがとう」

○○は照れながらもにっこりと笑った。そして、照れ隠しにコップを空ける。


が、



「っ!これ、お酒」

○○はげほげほとむせる。

「オイオイ、大丈夫か?」

シャンクスは苦笑しながら○○を見る。

「……大丈夫じゃない」

○○の目は既に据わっていた。

「なんで男の人って、彼女がいるのに他の人と出来るのよ?!」

○○はキッとシャンクスを睨み付けた。

「は?」

「口では「君だけだよ」とか「本気じゃないんだ」とか!ふざけるな!傷付かないとでも思ってるの?!」

○○はすっかり酔っ払って友人に愚痴るようにシャンクスに言う。

「いや、その、男の性と言うか……」

シャンクスはしどろもどろに口を開く。

「やっぱり貴方もそうなのね?誘った癖に、結局は目的は体だけなんでしょ?!抱ければ誰でも良いんでしょ?」

○○は顔を真っ赤にして怒る。

「いや、待て!俺はそんな事無いぞ!」

シャンクスは慌てて否定する。

「ふん、どうだか?私ばかりが好きで……」

○○はくしゃりと顔を歪ませる。

「……○○」

シャンクスは眉間にシワを寄せた。

「…………いつも、いつも、いつも、私から電話、メール、予定も合わせてるのに……ね」

○○は泣きながらテーブルに突っ伏した。

「○○?」

シャンクスは静かになった○○を見る。

「スースー」

○○は泣きながら寝息をたてていた。
昨日はシャンクスを拾ったせいでちゃんと寝ていなかったようだ。

「あーあ、こんな良い女。勿体ねーことするな」

シャンクスはじっと○○を見ながら呟いた。

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