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昼間からシャンクスにベッドへ沈められ、すっかりと体力を奪われる。
「……お腹減ったよ」
○○は横で寝るシャンクスを見る。
「あ?あァ、もうそんな時間か」
時刻は夕飯時。
宿屋の一階からは夕食の良い匂いが立ち込めて来た。
「うん!良い匂いがしてるね」
○○はうきうきと服を着始める。
「何だよ。行く前にもう一回」
「やだよ!食いっぱぐれちゃうもん!」
シャンクスの伸ばした手を○○はするりとかわす。
「なんだよー!」
シャンクスは拗ねた様に口を尖らせる。
「ふふ、色気より食い気だもん」
○○は悪戯っ子の様に笑う。
「そうかい。じゃあ、仕方がねェか」
シャンクスはクスリと笑うと、服を着始める。
「手伝おうか?」
「頼む」
片手の無いシャンクスに手を貸す。
「はい!出来た」
「今度は脱がせてもらうかな」
何やら味をしめたらしいシャンクスがニヤリと笑う。
「ふふ、お子様みたいだよ?」
○○は負けじと笑う。
「お子様はお前を襲ったりしねェよ」
シャンクスはニヤリと笑う。
「確かに!」
○○はおかしそうに笑った。
2人は下の食堂で夕食を取る。
四皇であるシャンクスがいるから断られるかとも思ったが、気の良い女主人は豪快に笑った。
「お金さえちゃんと払ってくれたら良いよ!ニナちゃんの紹介だしね」
女主人は笑いながら料理を並べていく。
「美味しい!」
「ありがとうね」
○○の笑顔に気を良くした女主人は次々と料理を並べていく。
「ふふ、こんなに食べられるかな?」
○○は嬉しそうに並べられた料理を食べていく。
「気に入ったのか?」
シャンクスはアルコール度数の強い酒を飲みながら聞く。
「うん!なんか、懐かしい味付け。これぞ、お袋の味!!って感じで」
○○はにこにこと笑う。
「…………そうか」
シャンクスは目を細めて笑った。
また、元の世界が恋しくなったのでは無いかとシャンクスは思った。
帰りたいと言っても、もし帰す方法を知っていたとしても、絶対に帰してやるものかと思った。
「ん?どうしたの?」
○○はじっと見つめて来るシャンクスを不思議そうに見る。
「いや、良い女がいるなと思ってな」
シャンクスは○○から目を離さずに言う。
○○は思わずキョトンとして、辺りを見回す。
自分以外に該当者がいない事を確認してシャンクスににこりと笑いかける。
「シャンクスも良い男だよ!」
○○は嬉しそうに笑う。
「よし、部屋に戻るか」
シャンクスはちゅっとリップ音を立ててキスをしてから○○の肩を抱いて立ち上がる。
「あはは!元気だね」
○○はシャンクスの行動にケラケラと笑う。
「お前のせいだろ?お前の」
シャンクスがニヤリと笑う。
「そう?なら、責任取りましょう?」
○○はクスリと笑う。
「ご馳走さま!とても美味しかったです!」
○○は女主人に声をかける。
「気に入って貰えて良かったわ」
女主人はにこりと笑った。
2人は立ち上がり、客室へ向かおうと階段を登り始める。
「大変だ!!!」
宿屋のドアが乱暴に開けられたと同時に少年が入って来て叫んだ。
少年の乱入に自然と足を止める○○。
それに伴い、シャンクスの歩みも自然に止まる。
「どうしたの?そんなに慌てて?」
女主人は何事かと少年に聞く。
「お、おばさん!!に、ニナが!!」
少年が慌てて声を出す。
「ニナちゃんがどうかしたのかい?」
女主人は少年を落ち着かせる様に声を出す。
「ニナが拐われた!」
「は?」
「山にきのこを取りに行ったんだよ!なんか、「あの方に食べてもらうの!」とか、言いながら!そしたら、さっきの変なやつらに!!」
少年は何とか言い切った。
「……シャンクス」
「ん?」
○○はシャンクスを見上げる。
「……ニナちゃんが……」
○○は不安そうに声を出す。
「…………」
「お願い。元を正せばシャンクスの為に山に行ったんじゃない?」
○○はシャンクスを見上げる。
「……はぁ。俺はお前の頼みなら断れねェだろうが」
シャンクスはため息をついて、にこりと笑う。
「シャンクス!」
「おい、少年」
シャンクスは少年に声をかける。
「は、はい?」
「そのお嬢ちゃんが拐われたって所に案内してくれ」
シャンクスがやれやれと笑う。
「た、助けてくれるんですか?」
少年が恐る恐るシャンクスを見上げる。
「あァ、俺のお姫さんの要望でな」
シャンクスはニヤリと笑う。
「ありがとうございます!こちらです!」
少年は嬉しそうに頷いた。
「○○。お前はベックマンに一応知らせてくれ。あァ、ベックマンじゃなくても、船の連中で良い」
「うん。分かった」
「良い子だ」
シャンクスはニヤリと笑うと○○の頭を撫でた。
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