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「この出会いは運命よね!シャンクス様!!!」
「……………………は?」
干しイカを炙ってマヨネーズで食べるのがオススメと言う飯屋のオヤジの言う通り、それはとても旨かった。
それを食べながらのほほんとテーブルを囲むシャンクスとマルコは酒を、○○は食事を楽しんでいた。
「いたわ!麗しき私のシャンクス様!!」
それは、鈴が鳴るような可愛らしい少女の声。
振り返るとそこには先程助けた金髪の少女が頬を赤く染め立っていた。
そして、冒頭に至る。
「運命よね!運命!そうでしょ?シャンクス様!!あ、申し遅れました!ワタクシ、ニナと申します。花も恥じらう16歳の乙女です」
少女ーーニナは可愛らしくにこりと笑った。
「あ?あァ、そうか。大丈夫か?頭をぶつけたのか?」
シャンクスはそう、ちょっと心配そうに言う。
「えぇ!貴方の事を考えるだけで胸が張り裂けそう!そして、頭がパンクしそう!!」
「そうか、早く医者にでも見てもらえ」
「ふふ、恋の病を治せるのはお医者様ではありませんわ、シャンクス様」
うっとりとニナはシャンクスの隣に椅子を持ってきて座る。
「赤髪ィ。良かったねい」
マルコがニヤニヤと笑いながら酒を煽る。
「このっ!」
「シャンクス……」
「っ、○○?」
○○の呼ぶ声にシャンクスはぎくりと止まる。
「モテモテね」
○○はクスリと笑ってシャンクスを見た。
「いや、お前……」
「いやん!お似合いだなんて!!」
「言ってないよい」
ニナの言葉にマルコが思わず突っ込みを入れる。
「もし宜しければこの街を案内しますわ!シャンクス様!!」
ニナがにこりと笑う。
「いや、良いよ。俺、この後こいつと宿屋行くから」
シャンクスが○○を指差してニヤリと笑う。
「宿屋でしたら、私の家の隣にありますわ!案内します!」
ニナはシャンクスの言う意図が読み取れぬまま、案内すると立ち上がる。
「いや、あのな……」
シャンクスは調子を崩しながら声を出す。
「さぁ!行きましょう!!」
ニナは四皇であるシャンクスを引っ張って行った。
「…………行かなくて良いのかよい?」
マルコは○○を見る。
「ハッ!!何か、驚き過ぎちゃった……」
○○は慌てて立ち上がる。
「マルコさんはまだここに?」
「俺は明日にはここを出るよい。ただの偵察だからねい。まぁ、数日したらモビーディック号ごと来るよい」
マルコはニヤリと笑った。
「あ、エースさんやサッチさんも?」
「あァ」
マルコは頷いた。
「それまでいるか分からないですが、また会ったら宜しくお願いします」
○○はぺこりと頭を下げた。
「よい」
マルコは軽く手を上げると、酒を煽る。
○○はシャンクスの姿を見付けると、走って追いかけた。
「シャンクス!」
「○○……」
シャンクスは心なしかやつれた気がした。
「大丈夫?」
「まぁ、何とか……な」
シャンクスは苦笑いをする。
「お待たせしました!シャンクス様!部屋は空いてるそうですよ。あら?あなたは?」
宿屋から出てきたニナは○○を初めて視界に入れた。
「俺の女だ」
「女?」
「恋人の事」
「……」
シャンクスの言葉とぐいっと○○の腰を抱く動作にニナが固まる。
「っ!私の純情を玩んだのねー!!!」
わあぁぁぁ!!!と泣きながら隣の家にニナは入って行った。
「……何だったんだ?」
シャンクスは呆然とニナが去った方を見た。
「恋する乙女が失恋したのよ。これでひとつ大人になったのね」
○○は困った様に笑う。
「まァ、中に入るか。せっかく買ったしな」
シャンクスはニヤリと先程買った袋を掲げた。
「…………」
○○は声には出さずにシャンクスを呆れた顔で見た。
しかし、その顔は赤くなっていた。
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