39
先程の海沿いの道を通って、再び街へたどり着いた。
「宿屋行くか?」
「……まだ、お昼前だよ?」
シャンクスの提案に○○は不思議そうに彼を見上げる。
「そうか、その前に買い物だな!そろそろ無くなりそうだ」
シャンクスは気付いた様に右手でぽんと自分の膝を叩いた。
「?何か必要な物があるの?」
○○は長身のシャンクスを見上げるように聞いた。
「あァ、コンドー」
「っ!!あわわ!!!」
○○は慌ててシャンクスの口を手で押さえたかったが、届かないので、思いきり体を叩いてシャンクスの言葉を遮った。
「うん!必要!でも、お願いだからこんな人通りの多い所で口にしないで!」
○○は怒った様は照れた様な声で懇願した。
「まァ、俺としては無くても良いけどな」
シャンクスは焦る○○にニヤリと笑う。
「必要!必要!無かったらしない!」
○○はぶんぶんと首を振る。
「そうか?なら、買いに行くか」
少し残念そうなシャンクスは薬屋を目指した。
薬屋から満足そうに出てきたシャンクスと疲れきった○○の顔が並んでいた。
「……い、いっぱい買ったね」
その量と種類に○○は少々げんなりとする。
「あァ、一度航海に出ると買い物もままならないからな!帰る時に買わないとな」
シャンクスはニヤリと笑った。
「…………半年分くらいかと思ったよ……」
○○は冷や汗を滴ながらシャンクスの持つ袋をちらりと見た。
「大丈夫!全部○○に使ってやるからな」
「……それは……そうして」
シャンクスは楽しそうに○○のおでこに口付けをした。
○○は顔を赤くして頷いた。喜んでいると言うよりは疲れと恥じらいの様だ。
「お?あれ!見た事ある奴じゃねーか!」
シャンクスはじっと進行方向を見てから笑った。
「?」
誰だろうとそちらに目をやったが、人が多くて誰だか分からない。
そもそも、シャンクスの交遊関係など、クルーと鷹の目しか知らないが。
「おーい!!マルコじゃねェか!!」
「え?」
シャンクスの言葉に○○が不思議そうにそちらを見るが、残念ながらその様な人物は分からなかった。
「あっ!こら!無視するな!行くぞ!」
「え?あっ!」
シャンクスが○○の手を引くと、物凄い速さで人をひらりと避けながら走る。
○○は転けそうになりながらも、必死で足を動かした。
「おーい!逃げるなって!」
200メートルほど走っただろうか?ようやく、前に見たパイナップルヘアが見えた。
(こっちの人達は本当に超人的視力の持ち主!!)
○○はまた驚かされる。
「うちに来いって!」
「うるせェよい!!」
シャンクスの嬉しそうな声に苛立たしげに答えるマルコ。
どうやら気付いていてわざと無視をしていた様だ。
「ま、マルコ、さん!」
○○が必死に声を出す。
「ん?お前ェは……」
マルコはようやく足を止める。
それに従いシャンクスも足を止め、○○はシャンクスに手を掴まれたまま、ゼイゼイと肩で息をした。
「や、やっぱり!お久し振りです!」
○○は前に違う島で会い、助けて貰ったマルコに挨拶をした。
「……○○」
「はい!」
マルコが自分を覚えていた事に嬉しくて頷いた。
「そういや、お前ら会った事あるって言ってたな」
シャンクスが思い出した様に2人を交互に見る。
「はい!助けてもらいました」
○○はにこにこと嬉しそうにシャンクスに頷く。
「そうか、世話になったな。どうだ?飯でも」
シャンクスはマルコを昼食に誘う。
「………………よい」
マルコはシャンクスと○○を見て、迷いながらも頷いた。
3人は連れ立って飯屋へと足を向けた。
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