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「可愛いお店もある!」

○○はキラキラと目を輝かせて街を眺めた。

「まずは帽子。それから、服だな」

シャンクスは真剣な顔をして顎を撫でた。

「そういや、今日は帽子はしてないんだな」

「うん!」

(だって、帽子買ったらすぐに捨てられそうだし)

○○はにっこり笑ったまま胸中で付け加えた。

「まぁ、いい。あの店なんかどうだ?」

シャンクスが落ち着いた服屋を指差す。

「あ、良いね!行きたい!」

○○は嬉しそうに頷くと、その店に入って行った。

「いらっしゃいませ」

女性店員がすぐさま2人に近付いてきた。

「こいつに似合う帽子と服を探してる。コートや防寒具もあるとありがたい」

シャンクスは○○の肩を抱いたまま言う。

「かしこまりました」

店員は丁寧にお辞儀をすると、すぐに服や帽子、コートやブーツ、靴などを差し出してくる。
大きな姿見を○○の前に用意もした。

「お!結構良いな!」

シャンクスは○○に合わせながらポイポイと服を決めていく。
派手過ぎず、地味過ぎず、着やすそうな服が並んでいた。
しかし、値段もかなりの物だった。

「うーん」

「どうしたの?」

一緒に服を選んでいるとシャンクスの難しい呻き声が聞こえ振り返る。
店員は調度帽子を探しに行っていていなかった。

「いや、こう言うの無いよなって思ってさ」

シャンクスがほらと見せてきたのは上下セットの下着。かなりセクシーな下着だが、

「…………いや、明らかにサイズ大きいじゃない」

○○は呆れながらもセクシーな下着をシャンクスの手から奪い、置いた。

「お!じゃあこれなんか良いだろ?ほら!調節可能!」

笑顔で見せてきたのは腰の所と胸の谷間の所が両側とも蝶々結びになっている物だ。

「…………わ、私蝶々結びって縦結びになっちゃうから苦手」

○○は赤くなりそうな顔を何とか保ち、普段通りの声を出した。

「……あー、蝶々結びな。ヤソップが得意だな、確か」

シャンクスは「片手だと出来ねェよなァ」と呟いた。

「毎回ヤソップさんに結んで貰う?」

○○は意地悪くニヤリと笑った。

「………………よし!いらないな!」

シャンクスは紐で出来た下着セットを元の所へ戻した。

○○はしめしめと笑った。






そしてシャンクスは帽子に悩んでいた。

「これはどうだ?」

麦わら帽子のカンカン帽。

「イマイチ決まらないな…」

「こちらなんていかがでしょう?」

店員が差し出したのは花柄の布製帽子。

「可愛いんだけどなー」

シャンクスは首を傾げる。

「……」

○○はすっかり着せ替え人形と化していた。

「このキャスケットなんかどうだ?」

淡い小豆色のキャスケット帽を○○に被せる。

「お!これ、可愛いな」

シャンクスは上機嫌で○○を見る。

「あ!ねぇシャンクス!あれは?」

○○が指差したのは赤と白の毛糸の耳当て帽子。

「冬島ならいるな!」

シャンクスは毛糸の帽子も買うかごに入れた。

「……こ、こんなに買うの?」

「当たり前だろ!」

○○の引き吊った顔にシャンクスは笑顔で答える。

「お前も欲しいのあったら言えよ!」

シャンクスは嬉しそうに笑った。

「う、うん」

○○はすでにこっそりと下着類もかごに忍ばせていた。
もちろん、先程シャンクスが選んだのではない物だ。

(……シャンクスお金の感覚変!あ、鷹の目もか……)

○○は少し呆れた様にシャンクスを見た。






沢山服等を買って、一度船へ戻る事にした。

「お!お頭ー!もうお帰りっすかー?!」

船番のクルーがシャンクスと○○に声をかける。

「おう!荷物を置きにな!」

シャンクスは晴れやかに笑うと○○の部屋に行く。

○○は部屋に置かれたクローゼットに買った荷物を入れていく。

「うーん……入りきらないよ!」

○○は困った様に笑う。

「俺の部屋にも置けよ?あの部屋で着替える方が多いしな」

シャンクスは楽しそうにニヤニヤと笑った。

「……そ、そうね」

○○は照れを隠すためにいじけたような顔をする。

場所を船長室に移動し、クローゼットの中に服を入れていく。

「よし!入った!って、何してるの?シャンクス」

「っとー、これだな!」

シャンクスは今しがた入れたばかりのクローゼットから、服と下着を身繕い○○に渡して来た。

「え?」

○○はそれを受け取り困惑の表情を浮かべる。

「脱げ、着ろ」

ニヤリとシャンクスは笑った。

「っ!……」

○○は逆らわない方が良いとシャワー室を目指す。

「ここで着替えれば良いだろ!」

シャンクスが○○の行動に不服そうに声を出す。

「嫌です!」

○○はきっぱりと言ってから、少し考え、頬を赤く染めて俯く。

「せ、せっかくシャンクスとのデートだから……少しでも早く行きたいから」

○○はわざと呟くように言う。

「っ!わ、わかった!早く着替えて来い!」

シャンクスは嬉しそうに○○に許可を与えた。

○○はしめしめとシャワー室で着替えを完了させた。
下着から服までぴったりサイズだ。

「シャンクス、趣味良いなぁ。自分はあのズボンなのに」

○○はクスリと笑った。

「イケメンは何を着ても似合うってやつかしら?」

○○はうーんと考え込んだ。

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