37
船を降り、○○はシャンクスと並んで海沿いの道を歩く。
「二人でこうして歩くのも、あっちの世界以来だね」
○○は嬉しそうにシャンクスを見上げる。
「あ?あァ、そうだな」
シャンクスは○○の楽しそうな顔に穏やかに笑う。
「ふふ、シャンクスは年取っちゃったけとね」
○○は今にもスキップなどしそうな勢いだ。
「……そうだな。10歳は年下になっちまったもんな」
シャンクスは○○に手を伸ばす。
「ふふ、そうだね」
○○はその手を取った。
「私、年上好きだけど、さすがにこんなに上は初めてね」
「あ?」
○○の言葉にシャンクスは不機嫌そうに片眉をあげる。
「っても、付き合ってたのはあれだけどね」
○○は困った様に笑い、ダメ男を思い浮かべる。
「あァ……。あんな男、とっくに忘れたと思ったがな」
シャンクスが○○と繋いだ手を離し、腰に手を回して引き寄せた。
「っ!ちょ、ちょっとシャンクス?!」
○○は急に低くなったシャンクスの声に慌てる。
「ちゃんと、あんな野郎を忘れた体になってると思ったが?」
ニヤリと笑いながらシャンクスは近くの木に○○を押し付けた。
「シャ、んんっ」
シャンクスが少々乱暴に○○と唇を重ねる。
「ッハ、どうだ?」
間近で覗かれる熱い視線に○○は体を熱くする。
「シャンクス……」
○○がシャンクスの首に腕を回しそうと手を伸ばす。
「ん?」
「どうした?」
「あのね何か聞こえ、って、この手は何よ?!」
無遠慮に服の中に入る手をぺちんと叩く。
「つれねェなァ」
シャンクスはニヤリと笑いながら手を引っ込めた。
「ねぇ、シャンクス。何か聞こえない?」
○○はさきほど聞こえた方を改めて振り返る。
「さっきから、聞こえてるぞ?」
シャンクスは事も無げに言う。
「なっ!じゃあ、ダメ!おしまい!」
○○はするりとシャンクスから離れる。
「ちっ」
「舌打ちしたよ!この人!怖っ!」
○○はつい突っ込みが口を出た。
「でも何だろう?」
○○は不安そうに辺りを見回した。
「誰か悪巧みでもしてんだろ?」
「………………」
さすが海賊だと○○はシャンクスを見上げて思った。
「たーすーけーてー!!」
「ね、ねぇ、シャンクス。悲鳴だわ」
「そうだな」
「って!何してるの?!」
急に近くなったシャンクスの顔を慌てて押し退ける。
「キス」
「だから!!」
○○は呆れと怒りと半々な表情でシャンクスを見る。
「たーすーけーてー!!」
「…………シャンクス」
「そんな目で見るなよ」
シャンクスはやれやれと○○から離れて悲鳴の聞こえた方を振り返る。
「ちっ!誰だか知らんが、邪魔した野郎は許さん!!!」
「……カッコイイんだか、悪いんだか」
○○はシャンクスを不安そうに見上げた。
物凄い速さで走る足音。
そしてその後ろから三人ほどの重い足音が聞こえる。
「助けてぇぇぇ!!!」
林から飛び出してきたのはまだ16,7歳の少女だった。
「っと、大丈夫か?お嬢ちゃん」
どんっと勢い良くシャンクスにぶつかってきた少女はそのままシャンクスの腰へと抱き付いた。
「助けてください!追われてるの!」
金髪のセミロングの少女がシャンクスを見上げた。
「おうおう、お嬢ちゃん!」
「よくもやってくれたな!」
「謝るんなら今のうちだぞ!」
男達が林から抜け出して、少女達を囲む。
「ふん!エッチな目で私を見るからでしょ?!あんた達なんて、うちのお兄ちゃんがやっつけてくれるんだから!」
少女はべーっと舌を出すと、シャンクスの後ろへと姿を隠した。
「なんだとぉ?!」
「お前、やるのか?」
「…………ま、待て!」
最後の男が冷や汗をかきながらシャンクスを見た。
「…………あ、赤髪ィ?!」
「げ?!まさか!!」
「よ、四皇?!」
「嘘ぉ?!」
男達の声に、少女も慌ててシャンクスから離れる。
「お?知ってるのか?嬉しいね。サインならお断りだ」
シャンクスはニヤリと言い放った。
「っに、逃げろ!!!」
「か、勝ち目なんかねぇ!!!」
「ガキィ!!覚えとけ!!!」
男達はそう叫びながら逃げて行った。
「あ、赤髪の……シャンクス」
少女はショックを受けたようにシャンクスを見た。
「大丈夫かい?お嬢ちゃん。今度から気を付けろよ?」
シャンクスは怯える少女ににかりと笑うと○○を抱いて去っていった。
「え?っ!!カッコイイ!!!」
少女はシャンクスをじっと見つめた。
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