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一度だけ欲を吐き出したシャンクスは○○を抱えて珍しくそのまま眠りについた。
次の日からはシャンクスとゆっくり日が高くなるまで眠り、風呂掃除をして、昼飯はシャンクスと共に済ませる。
周りのクルー、特に古くから一緒に行動を共にする幹部たちは「やっとまとまったか」とホッとしていた。
「だってよ!お頭が10年探し続けた女だぞ?」
「そうそう!新しい島に着くたびに聞いてたよな」
「な!俺には無理!」
「俺もー」
がはははは!と笑いと共に赤髪海賊団のクルーが笑った。
「……そ、そうなんですか?」
○○はそれが自分を探すためだと分かっているので、照れて顔を赤くする。
「そうだぜ?執念深いったらねーよ!」
「だよな?」
「え?いや、あの」
クルーの問いかけに○○は困った様に真っ赤な顔のまま縮こまる。
今は甲板でのんびりとクルー達と話している。
「コラ!あんまり○○を虐めるな!」
そこにシャンクスがやって来た。
「イジメて良いのは俺だけだぜ?」
○○を後ろから抱き締めるとニヤリと笑った。
「セクハラだ!お頭!コノヤロー!」
「○○!嫌なら嫌とちゃんと言うんだぞ!」
幹部たちがニヤニヤと笑いながら囃し立てる。
「お、お頭!止め!」
「嫌ではないだろ?」
シャンクスは抵抗して暴れる○○に上機嫌で唇を寄せる。
「っ!……人のいる所でしないで」
○○は真っ赤な顔のままシャンクスを睨み付ける。
「うちの姫さんは強いなー」
ヤソップがニヤリと笑う。
「だろ?可愛いだろ?」
シャンクスはだらしない顔で笑った。
「あーあ、これが四皇とはな」
ルウが肉を食いながら笑った。
「まったくだ」
呆れながらも機嫌が良さそうなベックマンも口を開いた。
「お!ベックマンも来たのか!」
ヤソップがベックマンの姿を見付けると声をかけた。
「あァ、次の島には明日の昼頃着くそうだ」
ベックマンが煙草を吹かした。
「お!何か久々だな!」
ヤソップは嬉しそうに声をあげる。
「大きな島で、町がいくつかある。治安は良いが、ちょっと外れると危ない所もあるそうだ」
ベックマンが知識だけを伝える。
「だと。やっとこの帽子からさよなら出来るな」
シャンクスがニヤリと笑うと○○から白い帽子を取る。
「あっ!まだ陽射し強いです!」
○○は慌てて帽子を追うが、シャンクスとの身長差により、帽子を奪い返す事は出来なかった。
「お頭ー!小せェな!!」
ルウがケラケラと笑いながら2人を見る。
「うるせェ!!!あっ!」
シャンクスは子供のように反論する。
「ほら、ちゃんとかぶってろ」
ベックマンがシャンクスから帽子を取り上げると○○にかぶせる。
「うわっぷ!ありがとうございます!ベックマンさん!」
○○は嬉しそうにベックマンの名を呼ぶ。
「あァ」
ベックマンは気分良く○○の頭を帽子ごと撫でる。
「お、お前!何でベックの事名前で呼んでんだよ!!」
シャンクスは不服そうに○○を見る。
「ふふ、ベックマンさんは私の味方ですからね」
○○は嬉しそうにベックマンを見上げる。
「そうだな」
ベックマンは紫煙を吐き出した。
「おい、こら!ベック!!!」
シャンクスはムスッとした顔でベックマンを睨み付ける。
「うわっ……」
「っ!!」
「はぅっ!」
ベックマンの背後にいた若いクルー達がバタバタと倒れて行く。
「え?!ど、どうして?!」
○○は慌てた声を出す。
「お頭、覇気しまえ」
ベックマンは呆れた様に紫煙を吐き出した。
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