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15:55。
○○はがばりと身を起こした。
「わっ!え?お頭?副船長?」
○○は目を覚ました先に2人を見付けた。
「お?起きたか?」
シャンクスが笑顔で聞く。
「え?あ?……はい」
○○は慌てながら時間を確認する。
一瞬、夜の勉強中に寝てしまったのかと焦ったのだ。
「大丈夫か?」
ベックマンが紫煙を吐き出しながら聞いた。
「は、はい!もちろん!さて、残りの仕事頑張ります!!」
○○は立ち上がると休憩を終わらせて仕事場へと走って行った。
「そろそろ限界か?」
ベックマンが○○の姿を見る。
目元の隈も日に日に増す。
「そうだな」
シャンクスもニヤリと笑った。
「……相手は一般人なんだ。お頭の体力に付いて行けない事くらい分かってるだろ?」
「あァ。もちろん」
ベックマンの言葉にシャンクスは頷く。
「早く俺だけのモノになっちまえば良いのに……」
シャンクスは働く○○の姿を眩しそうに目で追った。
「…………歪んでるぞ」
ベックマンはやれやれと紫煙を吐き出した。
夕食も終わり、いつもの様に書庫へ行く。
ゆっくりであればほぼ完璧に訳せる様になっていた。
ーーコンコン
○○はノックをする。
「入れ」
「失礼します」
返事を待ってから書庫へ入った。
「宜しくお願いします」
「あァ」
○○はキョロキョロと中を見回す。
そこにはいつもいるはずのシャンクスの姿が無かった。
「?お頭は?」
「俺だけじゃ不満か?」
「いえ!まさか!」
○○は慌てて首を振る。
「ただ珍しいな、と思いまして」
「そうだな」
○○の言葉にベックマンは肯定する。
○○は席に座った。
「あ、あの。四皇ってなんですか?」
○○はおずおずとベックマンに聞く。
「お頭に聞けば良いじゃないか。本人なんだ」
「それもそうなんですが。聞きづらくて……」
○○は困った顔をした。
「それもそうか」
ベックマンは煙草を吹かした。
「このグランドラインの新世界において、皇帝の様に君臨する4人の海賊の事だ」
ベックマンは紫煙を吐き出した。
「…………し、新世界?皇帝?」
○○は不思議そうに首をかしげる。
「………………そうか、異世界人だったな」
ベックマンは立ち上がると地図を手にした。
「これがグランドライン。それと垂直に交わる大陸がレッドライン」
ベックマンが地図を指差しながら言う。
「この2つが分ける海が東西南北と分けられる。お前が流れ着いたバラティエがあるのがこの辺りだ」
「へぇ。これで、東の海って意味が分かりました!でも、これならすぐにグランドラインに入れそうですね」
○○は疑問をぶつける。
「そう思うだろ?だがな、このグランドラインの両側にはカームベルトと呼ばれる海王類の巣がある」
「か、海王類の巣……」
○○は顔を引きつらせた。
「知ってるのか?」
「はい。鷹の目が倒してるのを見ました」
「そうか」
「それで、グランドラインは大変なんですね」
○○は不思議そうに地図を見た。
「それだけじゃないんだが。まぁ、四皇、王下七分海、海軍本部が三大勢力と呼ばれて、世界の均衡を保ってる」
「…………」
ベックマンの言葉に○○は目を真ん丸にする。
「どうした?」
「え?し、シャンクスってそんなに凄いの?」
○○は驚いて名前を呼んだ。
「あァ、そうだな。懸賞金なんて聞いたら大変そうだな」
「……け、懸賞金?」
「あァ」
ベックマンのニヤリとした顔が怖くてそれ以上聞けなかった。
「……じゃあ、鷹の目も凄いの?」
「ん?そうだな。まァ、七武海は懸賞金が取り下げになるがな」
ベックマンは煙草を吹かした。
「………………」
あまりにも驚い話なので、○○は椅子にぐったりともたれ掛かった。
「…………疲れたか?今日はこれくらいにしておけ」
ベックマンは紫煙を吐き出した。
「…………そうします」
○○は席を立つ。
「ありがとうございました。……本当に私の住んでいた世界とは違うんだと実感しました」
○○は困った様に笑った。
「……後悔しているのか?」
ベックマンは真剣な声を出した。
「いいえ。楽しいです」
○○はにこりと笑い、書庫を出ていった。
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