29
続け様に抱かれ続け、気が付くと窓から入る日は無かった。
「……3時……」
もちろん、午前だ。
さすがのシャンクスも眠りに付いていた。
○○は自分の腰に巻き付いて眠るシャンクスを愛しそうに撫でる。
ここで、自分が腹が減っている事に気付いた。
(昨日の朝御飯を最後に、水すら飲んでない……)
○○は空腹と若干の頭痛を感じて起き上がる。
「ん……」
○○はぎくりと体を止めた。
シャンクスが薄く目を開く。
「ごめん、起きちゃった?」
○○は小さく声を出す。
「……あァ」
掠れた声が艶っぽく、○○はドキドキと胸を高鳴らせる。
「どうした?」
シャンクスは時計を確認すると○○を仰向けで見上げる。
「うん、喉乾いちゃって」
それにお腹もと○○は笑った。
「そうか、悪い。俺が離さなかったからだな」
ニヤリとシャンクスは笑った。
その顔に○○の胸は高鳴る。
「そこに水差しがある。それと、ワインもあるはずだ」
シャンクスが指差す方向に目を向ける。
○○は床に散らばった服を集めて着ながらそちらに向かう。
「あ、おつまみ……」
「昨日の朝のだから大丈夫だ」
「朝からおつまみ」
シャンクスの言葉に○○は小さく苦笑した。
「ふぅ……」
○○は水をコップに移し、一杯飲み干す。
そしてまたコップに水を酌む。
「シャンクスも飲む?」
「あァ。いや、ワインを頼む」
○○は水とワインとおつまみを持ってベッドの端へ腰を下ろす。
「はい」
「さんきゅ」
シャンクスは瓶のままワインで喉を潤した。
「あァ、うまいな」
シャンクスは機嫌良く声を出す。
○○はそれが嬉しくてにっこりと笑った。
「私、一度部屋に帰るね」
○○はにこりと言う。
「……何でだよ」
シャンクスは不機嫌そうに声を出す。
「一度着替えたいし、ほら!昨日は仕事サボっちゃったからね。今日は洗濯頑張らなきゃ!」
○○は楽しそうに笑った。
「もう、関係ないだろ?船長の女はそんな事しなくて良い」
シャンクスは眉間にシワを寄せた。
「……その事なんだけど」
○○は姿勢を正した。
「私、赤髪海賊団にちゃんと認めて貰いたいの。だから、海賊見習い?雑用係は続けていきたい」
○○は真剣な顔をする。
シャンクスも体を起こしてベッドの上に胡座をかいた。
「せっかくシャンクスが認めた人達が乗ってる船でしょ?私もその人達に認めて欲しい。シャンクスにちゃんと認めて欲しいの」
○○は言葉を紡ぐ。
「実を言うとね。ちょっと怖い」
「怖い?」
「うん。もしこのままシャンクスの、お頭の女として船に乗って、いつかシャンクスに別の女が出来たら船下ろされちゃうでしょ?」
「あるはずないだろ」
シャンクスは目を細め不機嫌そうだ。
「あ、ありがとう。でも、もし、そうなった時でも私がこの船に乗り続けられる様にクルー達に認めて欲しい!私、何があってもシャンクスからもう離れたくないの!」
○○は懸命にシャンクスに訴える。
「○○……」
「お願い、シャンクス。私もクルーとしてこのレッド・フォース号に、赤髪海賊団に置いて!」
○○はじっとシャンクスを見上げる。
「……お前は可愛いな」
「わ、私は真剣に!っ!」
シャンクスは柔らかく微笑むと○○をベッドに組敷く。
「分かった。お前の好きにして良いぞ」
「ありがとう!お頭!」
「その代わり、今はお前の可愛さに熱くなった熱を冷ましてくれるな?」
シャンクスはニヤリと笑うと○○に深い口付けをする。
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