24
「そう言えば、海賊船同士の合戦て初めて見る」
○○は小さな鳥の巣を持ったまま呟いた。
「そうなのか?」
ヤソップが意外そうに声を出した。
「あ、はい。鷹の目は自分で乗り込んで行ってましたから」
○○は鷹の目を思い出しながら言う。
「ああ、あの棺船ならな」
ルウは納得した様に頷いた。
「また鷹の目か」
シャンクスは小さく舌打ちをした。
「ところでお頭、○○はどうするつもりだ?」
後ろからやって来たベックマンが○○を見て聞く。
「あ?本部や白髭じゃなきゃ問題ないだろう」
シャンクスはチラリと○○を見てからベックマンに言う。
「まぁ、そうだな」
ベックマンは頷いた。
「あの、私戦えないし、上にいれば良いですか?」
○○はほうきと鳥の巣を持ったまま聞く。
「……それが良いか?良いのか?」
シャンクスもうーんと首を捻る。
「お頭と一緒にいて変なのに目ェ付けられるよりましじゃねーか?」
ヤソップが○○を見ながら首を捻る。
「いやいや、下手に飛んでて大砲の玉とかに当たったら危ねェだろ?」
ルウは肉にかぶり付きながら言う。
「大砲来ます!」
「弾き返せ」
見張り番の声にシャンクスは冷静に答える。
ーードーン
大砲敵船から撃たれ
ーードーン
レッド・フォース号からも大砲が放たれると、見事に大砲かを撃ち落とした。
「凄っ!!」
○○は目を見張った。
「当たり前だろー!この船は四皇の船だぞー」
周りの海賊達がウキウキと戦闘に喜んでいた。
「よんこう?前にも聞いたけど……」
○○はシャンクスを見上げる。
「それ、何?」
「……………………」
○○の声が届く範囲の人間の動きが止まった。
「え?え?」
○○は静かになった甲板に戸惑いを感じた。
「あー、まぁ、こう言う時“異世界人”って感じだよな」
ヤソップがケラケラと笑った。
「お頭、だせェ!!」
ルウも大口を開けて笑う。
「残念だったな」
ベックマンはぽんとシャンクスの肩を叩く。
「え?あ、あの?」
○○は鳴り続ける大砲の音を気にしながらもシャンクスを見上げる。
「…………まぁ、追い追い」
シャンクスはため息をついて笑った。
「取り合えず、○○は俺の近くにいろ。目の届かない所で何かあっても困るからな」
「わっ、とと」
シャンクスに手を引かれ、黒いマントの後ろに隠される。
「よし!野郎共!!開戦だぁ!!」
「「「おぉぉぉぉ!!!!」」」
シャンクスの声に赤髪海賊団は大きな声で答えた。
○○は男達の大声にクラクラと目眩を覚えた。
「四皇赤髪のシャンクスだな!!」
敵船がレッド・フォース号に横付けされ、敵の船長らしき男が叫んだ。
「おー!よく来たな!何か用か?」
シャンクスは気軽に話しかける。
(大砲で攻撃されてこの余裕……)
○○は少々呆れながらシャンクスの影から顔を出して敵を見る。
「あ、フック船長みたい……」
○○はポツリと呟いた。
「なんだー?知り合いか?」
ルウが肉を食べながらの○○を見る。
「え?いいえ、まさか!子供の時に見た絵本の海賊に似ていたもので」
○○はルウにそう返した。
「おい!ほのぼの話すな!!」
敵の船長がそう怒鳴る。
「ひぃ……」
○○は慌ててシャンクスの後ろに隠れる。
どんなにシャンクスの後ろにいても、やはり怖い物は怖い。
しかし、邪魔にはなりたくないので、シャンクスには触れないよう我慢した。
「おいおい、そんなに怒鳴るなよ。うちのお姫さんが怖がるじゃねーか」
ヤソップの言葉に赤髪海賊団達はケラケラと笑った。
「っ!!野郎共!!赤髪を撃ち取れェ!!!!!」
「「「おぉぉぉぉ!!!!」」」
敵船からヤル気満々の海賊達が板をかけてレッド・フォース号へと乗り込んで来た。
「あわわ」
○○は慌ててその様子を見る。
「大丈夫だ。名が上がるとな、良くある事だ」
海賊だしなとシャンクスは楽しそうに笑った。
「お前はもっと堂々としてろ、赤髪海賊団のクルーになるんだろ?それに女なら勝利の女神にでもなってくれよな」
○○の頭を撫でる。
「ん?」
○○は不思議そうに首を傾げる。
「船に女を乗せるのは縁起が悪いんだとよ」
ルウが声を出した。
「え?」
「…………海の神は女の神でな。女を乗せてると神が嫉妬して船を沈めるんだと」
ベックマンが煙草を吹かす。
「え?ええ?だ、って、あれ?」
でもシラパが乗ってると言おうとすると、男達の戦いが始まる。
「ここまでは来ねェよ。来てもお頭の後ろが一番安全だぜ」
ヤソップが笑いながら銃を構える。
「すぐに終わるさ」
シャンクスはそう笑い、戦闘の様子を○○から隠した。
[ 34/61 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]