18
「お頭ー!新人は厨房にくれ!」
「おい!抜け駆けするな!お頭!洗濯係に!!」
「いやいやお頭!掃除係にくれ!!」
ハイ!ハイ!と次々に手を挙げていく海賊達。
「待て!○○には俺の相手と言う大切な……」
シャンクスが声をあげる。
「何言ってんっすか!お頭は○○の作った飯が食いたくないんっすか!!」
食事係が声を荒げる。
「っ!!○○の作った飯旨いんだよな」
シャンクスは真面目な顔をする。
「なら、○○の洗ったシーツで寝たいだろう?」
洗濯係もシャンクスを惑わす。
「っ!!そ、それもありだな」
シャンクスはまんまと迷う。
「いやいや!○○が部屋を掃除するとかロマンだろ!!」
掃除係は言葉と共にヒラヒラの真っ白なエプロンドレスを取り出した。
「ろ、ロマンだ!!」
シャンクスはエプロンを指差して叫んだ。
「…………………………」
○○は呆れて声も出ないとシャンクスをじとっと見る。
何故海賊団がひらひらの白いエプロンを持っているのかも気になったが、怖かったので声は出せずにいた。
「貴方達!!何を言ってるの!?」
そう声を出したのは昨日の美女だった。
「シラパ」
シャンクスが美女の名前を呼んだ。
長いカールのかかる美しい黒髪、派手な顔付きの整った化粧。
自分が美しい事を知っている。
全てがキチンとして、洗礼された美しさだった。
「これだからデリカシーの無い男は嫌だわ」
「いや、お前だっ」
「お黙り」
シラパは海賊の一人をピシャリと黙らせる。
「○○ちゃん?宜しくね」
シラパは長身を少し屈めて○○と目線を合わせて微笑んだ。
反射的に谷間の出来た胸へと視線が行きそうになり慌てる。
「は、はい」
○○はあまりの美貌に頬を赤く染めた。
「クス、可愛い」
シラパは妖艶に笑うと○○の頬に艶かしく指を這わせた。
「っ!!」
女である○○もあまりの妖艶さに顔を赤くする。
「おい!シラパ!!」
シャンクスが怒った様にシラパの手を掴み止めさせる。
「あら、お頭嫉妬?」
クスクスとシラパは笑う。
シャンクスは眉間にシワを寄せた。
「それで、お頭?昨日からお風呂にも入ってない女性をそのまま働かせる気かしら?」
シラパはシャンクスと向き合う。
シャンクスにも見劣りしない長身。
この世界の女性も大きいなと○○は密かに思った。
「なるほど、そうだな」
シャンクスは納得した様に頷いた。
「よし!なら俺の部屋の」
「大きなお風呂があるのよ、この船!案内するから着替えとか持ってらっしゃいな?」
シャンクスの言葉を遮り、シラパは○○に向く。
「え?あ、はい!」
○○は素直に頷くと、与えられた部屋に戻ろうとする。
「ふふ、ちゃんと部屋分かる?」
シラパが呼び止める。
「…………」
○○は不安そうに振り返る。
「なら、私が一緒に行くわ。お頭はその間に○○の身の振りを考えておいてね」
シラパは妖艶に笑った。
「あ、ああ」
シャンクスは押され気味に頷いた。
「ふふ、仲良くしましょうね、女同士」
シラパはにこりと笑うと○○と船内へ入って行った。
「…………」
「…………」
「…………ずりい」
海賊達はシラパに圧倒されたが、そうぽつりと呟いた言葉に頷いた。
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