13
小船は今日もグランドラインを漂う。
「ねぇねぇ、鷹の目。何か、寒くない?」
○○は毛布にくるまり鷹の目を見上げた。
「冬島が近いせいだろう」
「冬島?」
○○は不思議そうに聞き返す。
「ああ、雪が降る可能性もある」
鷹の目がそう頷いた。
鷹の目は冬島に近い所を航海すると分かっていても、いつもと変わらない格好である。
(前が肌けてるとか、見てるこっちが寒いのに……)
○○は寒そうに震える。
残念ながら、服を買った島ではコートなど無かった。
「寒いのか?」
鷹の目が聞く。
「寒いです」
「鍛え方が足りんな」
鷹の目はにべもなく言う。
「私、一般人だもん」
○○はだいぶ付き合いの長くなってきた鷹の目に慣れて来た。
「そうだったな」
鷹の目はあまり興味なさそうに頷いた。
「あ!新聞屋さん」
○○は新聞屋ニュースクーが毎日の楽しみになっていた。
「クー」
新聞は鳥が運んでくるのだ。
「買う?」
○○は鷹の目を見上げて聞く。
「ああ」
鷹の目は頷くと、小銭を○○に渡す。
「はい!一部お願いします」
「クー」
○○が箱にお金を入れると新聞を受け取る。
「ありがとう!」
「クー」
鳥の新聞屋は、空高く舞い上がった。
「良いなぁ」
「ぬしも飛べるであろう」
鷹の目が○○から新聞を受け取る。
「そうだけど……」
○○はほうきで空を何故か飛べる。しかし、グランドラインは空の上も危険が多く、なかなか自由に飛べずにいた。
「ふふふ」
急に鷹の目が笑い出した。
「……ど、どうしたの?急に……」
○○は鷹の目の笑った顔に恐れをなして聞いた。
「見てみろ」
鷹の目から紙を一枚受け取る。
「え?あ!!ルフィ君だ!!」
○○は驚いた。
あんな子供にも懸賞金がかけられるのだ。
それにしても
「す、凄い額……」
○○は驚いて0の数を数える。
「……進路を変える」
そう言うと鷹の目は紙切れを取り出す。
「?それは?」
○○は不思議そうに見る。
「ビブルカードだ」
鷹の目はそれしか言わなかった。
「……ふーん。そう言えば前の島でルフィ君のお兄ちゃんに会ったわ」
○○はエースの顔を思い出した。
「そうか」
「やっぱり海賊だったよ」
○○は思い出して言う。
「確か、白髭海賊団って言ってた」
「誰だ?」
○○の言葉に鷹の目は素早く反応した。
「え?えーっと、エースって言ってた。テンガロンハット被ってて」
○○は鷹の目の鋭い目に怯えながら説明する。
「“火拳”か」
鷹の目は一人納得した。
「ひけん?」
○○は不思議そうに声を出す。
「兄弟そろって能力者とはな」
鷹の目はニヤリと笑った。
(今日はよく笑うな)
○○は不思議そうに鷹の目を見た。
「じきに寒くなくなる」
鷹の目はそう○○に言う。
「え?」
「ここから先は暖かい気候だ」
鷹の目がそう言うと、どんどん気温が増していく。
「あ、毛布いらないね」
○○はしっかり帽子を被った。
「そうだな」
毛布を畳む○○を鷹の目はじっと見ていた。
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