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「……暇……」

宿屋に着いて、鷹の目は一人ワインを飲み始めた。

○○は海で濡れた体を風呂に入って温まり、新しい服を着て気付く。

下着は残念ながら濡れてしまったのだ。

「ねぇねぇ、鷹の目。街にでも行かない?」

○○はずいっと鷹の目に近付く。

「行かん」

鷹の目はそう言うとワインを飲む。

「えー。言っては何なんですが、鷹の目が拐ったせいで、着替えとか……その色々無いのだけど?」

○○は恐る恐る声を出す。

「……これで行って来い」

鷹の目はボンッとテーブルに札束を投げる。

「こ、こんなに要らないけど……」

○○はその中から何枚か札を抜き取る。

「足りるのか?」

「どんだけ買う気よ!」

○○は思わず突っ込みを入れる。

○○はポケットにお金を押し込む。

「俺の居ない所で飛ぶなよ」

鷹の目はワインを飲みながら言う。

「え?」

「人拐いに会い、売られたくば話は別だが」

鷹の目は平然と恐ろしい話をする。

「ひ、人拐い?売られる?……人が?」

○○はふるふると震えながら鷹の目を振り返る。

「そうだ。一生奴隷は嫌だろう」

「も、もちろん!」

「ならば飛ばない事だな」

鷹の目はワインを味わう。

「……た、鷹の目は私を売らない……よね?」

○○は恐る恐る聞く。

「生憎と金ならある」

鷹の目はチラリと○○に視線を合わせる。

(無かったら売る気かぁ?!)

○○は冷や汗をかきながら不安になる。

「目立つ事をしなければ、ぬしは一般人にしか見えん。ここは治安も悪くない」

鷹の目はそう頷いた。

「そ、そっか。なら、行ってきます」

○○は不安に思いながらも、下着だけは買おうと心に決めて部屋を後にした。












○○はとにかく女物の服と下着を探した。

「あんなに脅すからどうかと思ったけど、こう言う所は変わらないなぁ」

○○はウィンドウショッピングをしながらぷらぷらと街を歩く。

街らしい街を歩くのはこの世界に来て初めてだった。

見付けた店に入り、色々物色する。

先に、下着を購入し、ホッと一息ついてから、服などを見る。

まだ午後3時頃。
宿屋で過ごすには勿体無い時間だ。


○○は鷹の目の金で、着替えや少しの化粧品、バッグなどの小物も揃えた。


疲れたので休憩を取ろうとベンチに座る。

「疲れた」

帽子を脱ぎ、パタパタと扇ぐ。

人を観察すると、やはりグランドライン。海賊らしき人達が多い。

(ってか、さっきから同じ様な刺青の人が多いなぁ)

○○はなるべく目線は合わない様に観察する。

(荷物もいっぱいになったし、一度部屋に帰ろうかな)

○○は荷物を持って立ち上がる。

「おう、お姉ちゃんお一人?」

後ろから声がしたが、自分だと思わずにそのまま進もうとする。

「あっ!サッチの奴フラれてる!!」

ケラケラと楽しそうな声がした。

「うるせェ!!!ちょ、お姉ちゃん、無視は寂しいぜ?」

「え?私?!」

肩を叩かれて初めて自分の事だと気が付いた。

振り返ると顔に傷があり、リーゼントが特徴的な男が立っていた。

(こ、怖いっ!!)

○○は一瞬パニックをお越しかける。

「あ、の、私、これから……」

○○は明らかに海賊の男に恐れながらゆっくり下がって行く。

「怖がんなくて良いぜ!俺はサッチ!!お姉ちゃんお名前は?」

男ーーサッチはフランクに話しかける。

「う……え?いや」

○○はジリジリと後ろに下がる。

そして、後ろに人がいた事にぶつかってから気付く。

「なにやってるんだよい」

(っ!!パ、パイナップル!!!)

後ろにはパイナップル頭の男が立っていた。

「っうわぁぁ!!!」

○○は一目散に逃げ出した。

「あー…………何すんだよ!マルコ!!せっかく良い感じだったのに!」

サッチはマルコと呼ばれたパイナップル頭の男を睨む。

「そうは見えなかったよい」

マルコは呆れてサッチを見た。

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