07

「っ!!」

朝、目を覚ますと、とんでもない光景が目に飛び込んで来た。

それは、上半身裸の男の胸板。

恐る恐る上に目をやるとそれは鷹の目のもの。

(叫ばなかったのを、褒めて貰いたい!!!)

○○は恐る恐る自分の体を見る。

(よし、ちゃんと服着てる。間違いは犯してない)

○○は少しホッとした様に息を吐く。

そして、鷹の目を起こさぬ様にゆっくりとベッドから這い出る。

「朝か」

「ひぃぃぃ!!!」

「耳障りだ」

「っ!!!」

突然の鷹の目の声に○○は床に転がりながら悲鳴を上げ、低い非難の声に慌てて口を押さえる。

「あ、あの」

「なんだ?」

「何で一緒のベッドに……?」

「……俺が拐った相手をどうしようと俺の勝手だ」

「はわわわわわ」

さらりと当然の様に言う鷹の目から慌てて距離を置く。

(何て海賊らしい!じゃなくて)

○○の背中には冷や汗が流れた。

鷹の目はベッドから下りるとバスルームへと向かう。

「へ?」

「何だ、襲って欲しいのか?」

○○が不思議そうに声を出すと、鷹の目が○○を振り返る。

○○はぶんぶんと首を左右に振った。

「そうか」

鷹の目は頷くとバスルームへと姿を消した。

(……一体……何がしたいんだろう)

○○はどうやら危機は逃れた様で、そうなると余裕が出たの鷹の目のいるバスルームを不思議そうに見た。





朝の身支度を整え、朝食を取ると鷹の目は船に戻った。

「また海に出るの?」

○○が鷹の目を見上げる。

「そうだ」

鷹の目はそう言いながら○○を持ち上げると、ひょいと船に跳んだ。

「あ、ありがとう」

どうにも抱えられ、跳ぶと言う行為が怖いのか、○○は緊張していた。

「出すぞ」

鷹の目は椅子に座ると船を出した。

○○も慌ててその場に座った。




「……」

○○はやはり暇をもて余していた。

鷹の目はあまり話し相手としては優秀ではなく、すぐに会話が終了してしまう。

○○は仕方なく海を眺める。

「っ!!えェ?!」

○○は見た事の無いような大きな生き物に目を奪われた。

(確か、サンジに教えて貰った海王類!!)

こんな小舟なんてすぐに沈めてしまいそうな程の大きさだ。

「なっ!た、たたた鷹の目ェ!!!」

○○は「あわわわ」と言いながら鷹の目を見る。

「何だ」

鷹の目はまた昼寝中の様だ。

「ね、寝てる場合じゃないよ!!海王類だよ!!」

今まさに口を開けてこちらに向かう巨大な生き物に○○は慌てふためく。

「そうだな」

「そうだなじゃなーい!た、食べられちゃうよ!!」

どこまでも冷静な男に○○はしがみつく。

「それは困るな」

鷹の目はそう言うと背中の大きな剣を抜く。

「退いていろ」

「はい!」

○○は慌てて船の後ろに回り込む。

鷹の目は立ち上がる事すらせずに剣を振るう。


ーーザシュッ


「なっ?!」

たった、一振りで巨大な生き物の首が切れ、その場に沈んで行く。

「これで良いだろう」

鷹の目はそう○○を見る。

「じゅ、十分過ぎます」

○○は驚きを隠せずにぽかんと目を見開いた。

「そう、驚くほどもあるまい」

鷹の目はまた帽子を深くかぶる。

「…………さすが、大剣豪!!」

○○は惜しみ無い拍手を贈った。

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